今週の相場動向
相場回顧 BTC:過熱上昇後に急落し、週足では小幅下落
BTCは、株式市場の上昇が一服する中で、週初より強い買いトレンドが継続し一時BTC=140万円(13,000ドル)を突破した。
このまま年初来高値を試すかに思われたが、FRB議長の議会証言で、利下げ観測が強まり米国長期金利の低下やドル安の進行が起こったことや、リブラへの深刻な懸念が示されたことが影響しBTCは急落。上昇ペースが早く過熱感があったことから売りは強く、ロングのロスカットも相次ぎ、短期のトレンドラインとして見られていたBTC=132万円、128万円をあっさりと割り込んだ。
その後、次の支持線として見られるBTC=118万円を前に下げ止まり週足では小幅下落となった。
今週のトピックス
- Hapag-LloydとOcean Network ExpressがIBM主導の国際貿易プラットフォーム「TradeLens」へ参入。(7/5)
- 日銀副総裁がデジタル通貨の必要性について基調講演を実施。(7/5)
- シンガポール内国歳入庁(IRAS)が暗号資産事業者への物品サービス税免除を提案。(7/5)
- SECとFINRAが暗号資産カストディアンに対する規制について共同声明を発表。(7/8)
- ソフトバンク傘下FortressがMt.Gox債権者のBTC請求権を買取り。(7/8)
- TRONの名を語った詐欺の被害者が拡大し創立者への批判強まる。(7/8)
- テックビューロがNEM.io財団との業務提携を発表。(7/9)
- Tokyo Otaku ModeがbitFlyer Blockchainらと共同で翻訳プラットフォーム「Tokyo Honyaku Quest」の実証実験を開始。(7/9)
- 日本ブロックチェーン協会(JBA)が定例会を開き、サミット「V20」の協議内容を報告。(7/9)
- 金融庁が企画競争「ブロックチェーン技術等を用いた金融システムのガバナンスに関する研究」を発表。(7/9)
- Kakao子会社Ground Xが独自チェーンKlaytnに関する記者会見を実施。(7/9)
- Binanceが法定通貨建て取引所Binance Singaporeを正式ローンチ。(7/10)
- SamsungがDapps開発キット「Samsung Blockchain SDK」のβ版を発表。(7/10)
- DMM BitcoinがRipple(XRP)の取扱いを開始。(7/10)
- ブロックチェーン企業DiginexがNASDAQ市場に上場間近。(7/10)
- GMOコインがテレビCMを放映開始。(7/10)
- Facebook、規制上の問題からインドではLibraを展開せず。(7/10)
- Ethereum FoundationがクライアントソフトGeth v1.9.0を公開。(7/10)
- Fold提供のLightning Network決済アプリでスタバやAmazon、Uberなどの支払いに対応。(7/10)
- 住友商事がP2P電力取引プラットフォームを構築するLO3 Energy Inc.に出資。(7/11)
- SECがBlockstackのトークン発行を承認し初のSEC公認ICOに、WSJ報道。(7/11)
- ディーカレットがIIJやKDDI、コナミら12社から総額34億円の第三者割当増資。(7/11)
- Binanceが証拠金取引の提供を正式に開始。(7/11)
来週の相場予想
買い優勢の展開を予想するも下値に警戒
今週もまた20万円の大きなレンジで価格は急上昇そして急落した。7月入ってからの相場を見ると、上下いずれも急に価格が変動していることがわかる。ここから予測できることは、一部の大口投資家がグローバルマーケットの状況を見ながら思惑的に売買をしているということだ。
短期でこれだけ大きく価格が変動し、投資家にとって収益機会に溢れた市場は他にないだろう。そのような急騰急落が避けられない市場では、上値に踊らされるのではなく、底値を見極めることが重要となる。前週も申し上げたように、業界の流れを見れば相場が簡単に大崩れすることは現状考えづらい。
直近下値としてBTC=118万円(10,900ドル)を意識。割り込めばBTC=108万円(10,000ドル)まで下落となるか。
来週のトピックス
- BinanceCoin(BNB)がハードフォーク実装予定。(7/15)
- Komodo(KMD)がリブランディングおよびAntara Frameworkローンチ予定。(7/15)
- 米国上院Facebook公聴会。(7/16)
- 米国下院Facebook公聴会。(7/17)
- Zcash(ZEC)よりYcashが分岐予定。(7/18)
- HackAtomがソウルで開催。(7/19-21)
コラム:子どもの成長環境に見る時代の変遷
今日は休日なのに珍しく電車の中が空いている。空いていると言っても座席は全て埋まっていて、車内に自分のスペースを確保できる程度である。普段の満員電車では、車内にいる全ての人がまるでトラックに積めこまれる荷物であるかのように感じ、早く降りたい一心で大した考え事もできないのだが、この時は違った。同じ車両にいる人たちの表情や会話、動作が自然と私の中に入ってくる。子どもとみんなで出かける幸せそうな家族、一人静かに何かの本を読む女性、携帯を見てニヤニヤが止まらない男性、ハイブランド服ばかりを身につける怪しいチャラカップル、平然と一人で二席を使うぽっちゃりおじさん、関西人かと思わせるほど会話が止まらないおばさんたち等々、電車の中はこんなにもバラエティに富んだ人たちで溢れている。
何駅かを通り過ぎて、ふと赤ちゃん連れの母親に目を向けると、彼女がベビーカーの上で今にも泣き出しそうな赤ちゃんをあやし始めた。昔の自分がされたように、お母さん抱っこするのかな、と思ったがその様子はなく、彼女はポケットからスマートフォンを取り出し、何かキャラクターが動くようなアニメーションアプリを開いて、それを赤ちゃんに見せ出した。すると、1分も経たないうちに曇りかけていた赤ちゃんの表情は満面の笑みに変わり、ついには母親のスマートフォンを取って自分で遊び始めた。2歳か3歳くらいの赤ちゃんが、である。今の赤ちゃんには音の鳴る小道具も、可愛らしい人形も、絵が飛び出る本も、もしかしたら両親がするいないいないばあすらも必要ない。デジタルが赤ちゃんをあやす時代なのだ。
この様子を目にした時に、改めて世代ごとの子どもの成長環境をあれこれと考えた。私自身は、幼少期の初めは外で遊び、ゲームやパソコンが世に普及し始めるとともに、その場を室内すなわち家へと次第に移していった世代である。私の時代には、遊び=運動のイメージがまだ残っていたこともあり、野球やサッカーなどのスポーツ選手になりたいという友達が多かった記憶がある。次に来るのがゲーム・インターネットネイティブ世代だ。生まれながらにしてゲームやネット環境が整う彼らは、それらが使える家を中心に遊ぶ。この時はまだテレビがコンテンツとして独占的であり、ドラマの主役や芸人といったテレビに映る人に憧れる子どもが多かったのではないだろうか。
そして、電車で見かけた赤ちゃんのように、今に現れるのがスマホ・SNSネイティブ世代である。彼らは生まれた時からいつどこにいてもネットを通して誰かと繋がることができ、自ら何かを発信することもできる。さらに、電車の母親がスマホで赤ちゃんをあやしたように、彼らの親もまたデジタルをフル活用して子育てする。今や学校の授業中ですらスマホを使って友達同士コミュニケーションを取る時代となっており、彼らはデジタルとは切り離せない環境で生き続けている。そんな彼らが憧れを抱くのはテレビに映る人ではない。ネットで活躍する人だ。
そして、これらを見た時に、この先現われるトークンネイティブ世代は果たしてどのような環境で育つのだろうか。“お小遣い”稼ぎをして自ら欲しいものを手に入れるのかもしれない。学校という“コミュニティ”を自ら選択することができるのかもしれない。その中で新しい憧れの対象が現れているのかもしれない。まだ現実にトークンが使われていない状況では想像の域を超えることはないが、子どもであっても個人で選択し生きる時代へとシフトしている未来がなんとなくだが想像できる。とは言え、環境が変わっても純粋無垢な子どもはいつの時代も同じだ。その時代の一番ホットな環境で一番活躍している人に羨望の目を送る。
このように子どもの成長環境を追うと時代の変遷が見えて面白い。
編集校正:マネックス仮想通貨研究所