今週の相場動向
相場回顧 BTC:アルトコインからの資金が流れ上昇基調継続
BTCは先週の流れを引き継ぎ週初より買い優勢の展開となった。直近上値として見られていたBTC=60万円付近まで価格を伸ばすと急騰しBTC=62万円(5,500ドル)を突破した。その後は短期利益を狙った売りが強まり下落したが、週足では上昇基調継続となった。
今週は、アルトコインがBTC建てで全面安となったことから、BTCの強い動きを受けた資金寄せが価格を押し上げたと思われる。今回の急騰については、CMEのBTC先物取引高がBinanceの現物取引高を上回ったとのデータが見られるように、ショートポジション解消による先物主導の動きか。チャートの流れを見てもBTC=62万円(5,500ドル)を突破するのは時間の問題と考えられた為、特段サプライズではなかった。週末にかけては、GW休暇前のポジション調整売りもあってか上値が重くなった。
※NY州の司法長官がBitfinexとTetherをUSDT裏付け資産不正利用の疑いで訴追したことが発覚し、26日早朝にBTC=56万円(5,000ドル)付近まで急落。
今週のトピックス
- Zaif、テックビューロからフィスコ仮想通貨取引所への承継期間が終了。(4/19)
- Crypto GarageがBTC決済の仮想通貨デリバティブ取引を実現するP2Pプロトコルを開発。(4/19)
- Robinhoodが米国の通貨監督庁(OCC)に銀行設立免許を申請。(4/19)
- bitFlyer、仮想通貨レバレッジ取引の最大倍率引き下げを延期。(4/22)
- ふくおかFG、ブロックチェーン活用の地域ポイントサービスを開始。(4/22)
- 6月開催のG20にて仮想通貨の顧客資産保護などに関する手引書策定へ。(4/22)
- Zaifがモナコインの現物取引サービスを再開。(4/23)
- テックビューロがICO総合基盤COMSAのソフトウェア「COMSA HUB」β版を公開。(4/23)
- 金融庁が仮想通貨交換業者のHuobi Japanとフィスコに立入検査。(4/23)
- Bitgateが新サービスの提供開始に合わせて新規口座開設申込受付を再開。(4/23)
- Binanceが分散型取引所Binance DEXを立ち上げ。(4/23)
- AmazonでBTCによる高速決済が可能に、決済スタートアップMOONが提供。(4/23)
- SamsungがEthereum基盤のブロックチェーンおよび独自通貨開発を検討。(4/23)
- 経済産業省が大学研究機関におけるブロックチェーン技術の適用可能性に関する調査報告書を公表。(4/23)
- Binanceがシンガポールで仮想通貨取引所を新設。(4/23)
- BCブラウザのBraveが広告プラットフォーム「Brave Ads」を発表。(4/24)
- マネックス証券が「マネックスポイント」の仮想通貨への交換サービスを開始。(4/24)
- QUOINEが現物取引通貨ペアおよびレバレッジ取引における証拠金対象通貨を追加。(4/24)
- DeCurretがAndroid版公式アプリをリリース。(4/24)
- Bitfuryがスイス投資会社と提携しマイニングファンドを設立。(4/24)
- Ripple社がQ1 2019 XRPマーケットレポートを公開。(4/24)
- BinanceがBinance DEXのトークン上場審査プロセスを公開。(4/25)
- 日本マイクロソフト、JR東日本、みずほ総研らが共同でブロックチェーン活用実験を実施。(4/25)
- ユナイテッド株式会社が子会社Coinageによる仮想通貨関連事業への参入中止を発表。(4/25)
- NY州の司法長官がBitfinexとTetherをUSDT裏付け資産不正利用の疑いで訴追。(4/25)
- 中国電力、ブロックチェーンを活用した電力融通システムの実証実験を開始。(4/25)
来週の相場予想
BTCは上値の重い展開となるか
BTC=62万円(5,500ドル)を超えて安定的に推移できるかが次の焦点となるが、来週は日本そして中国で長期休暇に入ることから商いも落ち着き、上値が重くなることが予想される。
最近の市場動向を見れば価格が大崩れすることは考えづらいが、仮想通貨市場は株式市場と違って休暇中も取引が可能である為、相応に価格は変動するだろう。商いが薄い時こそ投資家は仕掛け売買に動きやすく、警戒しなければならない。
直近上値としてBTC=62万円(5,500ドル)、下値としてBTC=56万円(5,000ドル)を意識。
来週のトピックス
- WORLD BLOCKCHAIN STO SUMMITがドバイで開催。(4/29-30)
- KrakenがBitcoinSV(BSV)を上場廃止。(4/29)
- Zilliqa(ZIL)がメインネットへのトークンスワップ開始予定。(4/30)
- Digitex Futures (DGTX)が取引所ローンチ予定。(4/30)
- Waltonchain(WTC)がメインネットへのトークンスワップ開始予定。(4/30)
- USDT-TRONのエアドロップ開始予定。(4/30)
- Stellar(XLM)がウェブサイトをリニューアル予定。(5/1)
- Bytom(BTM)のDev Challenge応募締切日。(5/1)
業界関連動向
技術動向 仮想通貨取引所Binanceが分散型取引所DEXを正式ローンチ
4/23、大手仮想通貨取引所Binanceが分散型取引所Binance DEXを正式にローンチした。
DEXとはDecetralized Exchangeのことで、ブロックチェーンのスマートコントラクト技術を用いることでP2P取引を可能にした取引所のことだ。従来の中央集権型取引所(CEX)とは違い、取引所自体を分散管理することで安全性や透明性を高めつつ、取引コストを抑えることも出来る。
Binance DEXは、同社が開発した独自ブロックチェーンBinance Chain上で作られた。取引所トークンであるBinance Coin(BNB)はこれまでEthereum上のERC-20規格で発行されていたが、今回メインネットローンチに合わせてBinance Chain上のBEP-2規格に移行した。Binance Chainにサポートされたウォレットユーザーは、ウェブウォレットやパブリックデータノード、APIなどが順次確認できるようになる。
Binanceは、CFOのインタビューによれば、今や世界で1,000万人以上のユーザベースを持つと言われている。そして、この大規模なユーザーに対しBNBの保有インセンティブを与えることでこれまでもその価値を高めてきた。Binance DEX上では、BNBは主に取引手数料に使われる。今後DEXのユーザー数が増えれば、さらにBNBコミュニティは拡大し価格を伸ばすことも考えられる。
個別企業動向① 仮想通貨取引アプリ「robinhood」が銀行設立免許を申請
4/19、米国を拠点に仮想通貨取引アプリを提供するRobinhood Markets Inc.が米国の通貨監督庁(OCC)に銀行設立免許を申請した、とS&Pグローバルマーケットインテリジェンスが報じた。
OCCから承認を得ることができれば、従来の銀行商品やサービス提供に向けた活動が可能になる。同社はこれまでモバイルアプリを介した取引サービスのみを事業展開してきたが、銀行設立免許を取得することで普通・当座預金口座開設等を含めたフルバンキングサービスの提供を目指している。
Robinhood Markets Inc.は、昨年にシリーズCでの資金調達を終えて評価額が56億ドルとなり、米国で2番目に高い評価のがついたフィンテックスタートアップとなった。元々株取引アプリを取引手数料が無料という革新的なモデルで提供していたが、仮想通貨市場に参入し、今では500万人以上のユーザーを抱えている。主な収入源は信用取引で、取引機能が拡張したRobinhood Goldの口座を持つ人に資金を提供して利息収入を得ている。
既存の金融機関が仮想通貨業界への参入を進めるように、仮想通貨関連企業による既存の金融業界への参入もまた米国を中心に起こりつつある。仮想通貨ベンチャーによる銀行業・証券業への参入はその逆に比べると難しいように思われるが、相互参入が増えて業界を跨いだ競争が激化すれば、業界は発展し仮想通貨が社会浸透することにもつながるだろう。
個別企業動向② 大手監査法人デロイトがVeChainのブロックチェーン利用へ
4/18、サンフランシスコで行われたVeChain Summit 2019で、大手監査法人デロイトがVechain Thor上でブロックチェーンソリューションを開発することを明らかにした。
Vechain Thorは、Vechainが提供するDAppsプラットフォームだ。サミット内ではこれに加え、デロイトのグローバル・ブロックチェーン部門のCTO Antonio Senatore氏が、VeChainのアドバイザリーボードに加わることも発表された。
VeChain Thorは、ブロックチェーン技術をIoT技術と組み合わせたサービスを展開している。ブランド品の偽造防止や、農作物の栽培環境の情報を一元管理することなどに活用される。VeChainはこれまで、PwCともパートナーシップを結んでおり、ビック4と呼ばれる大手監査法人とのパートナーシップはこれで2社目となる。Vechainの技術はトレーサビリティを向上するものであるため、監査法人の仕事内容と親和性が高いことが理由の1つとして考えられる。
デロイトはこれまでEthereumのプライベートネットワークを利用して、ビジネス証明書の管理を行っていた。今回のVechain移行は、「顧客を拡大していくにあたりパブリックスペースへ移行する必要が出てきたため」、と同社は説明している。
コラム まずは仮想通貨を既存サービスに組み込むことが普及に繋がるのかもしれない
ここ数年の間で、「仮想通貨」「ビットコイン」「ブロックチェーン」という言葉はある程度世間に知られるようになった。新聞で特集記事が組まれたり、ニュースでも話題に取り上げられたり、メディアへの露出が増えたことでこれらの言葉に触れる機会は昔に比べて増えている。しかし、世間の認知度が高まったと言っても、言葉を知っているだけで、それが何であるのかまで理解している人は未だに少ない。そもそも日常的に使うことを考えた時に、仮想通貨やブロックチェーンの仕組みを理解する必要があるのだろうか。いや、ない。
このような状況で、仮想通貨がなぜ普及しないのかを業界企業に聞くと、多くが「ユースケースがないからだ」と言う。確かにその通りだ。現状、仮想通貨の使い途は投資が支配的で、そもそも投資への苦手意識がある日本人の間でそれが急速に広まるはずがない。いくら口座開設がネット上で簡単にできると言っても、日本では個人情報をネットでやり取りすることに抵抗のある層が未だに多く存在し、プライバシー保護の壁もまた存在する。決済での利用を考えた時にも、クレジットや電子マネーがある中で、わざわざ仮想通貨で支払おうという人はいないだろう。
では、業界内で仮想通貨を使えるサービスが充実するまで待たなければならないのか。ぴたコインやCheeeseといったビットコイン配布アプリを見ていて、意外と話は単純なのかもしれないと最近考えるようになった。ビットコインは市場価格が付いている為、多くの人が「お金」とまではいかなくとも価値あるものとして認識していると思われる。それが毎日のワンアクションでもらえるのであれば、少額であってももらう側としては嬉しいはずだ。”塵も積もれば山となる”ではないが、あとは配布したビットコインと何かサービスを繋ぎ合わせるだけで、そこにユースケースが出来上がる。
業界の人は仮想通貨の新しいサービス、ユースケースを生み出すことに必死になっているが、「新しいもの=正」という固定観念に捉われず、まずは仮想通貨を既存のサービスに組み込むことが、世間への普及に繋がるのではないだろうか。最後宣伝になってしまうが、その意味ではマネックスポイントを仮想通貨に交換できるようになったことは、大きな一歩であると言える。これが仮想通貨を保有する人を増やす一助になることを願うばかりだ。
編集校正:マネックス仮想通貨研究所