以前の日本は、夫が稼ぎ、妻がそれを受け取ってやりくりをする家計管理が主でした。近年では共働き世帯が増え、夫婦それぞれが給料を得るようになったため、家計のあり方も変化しています。収入は各自が管理する「夫婦別財布」でやりくりをするということが、普通になったのです。その結果、家計管理はやや複雑になってしまいました。
共働き家計の「油断」
夫婦で別々に収入を管理している夫婦は、互いの「収入状況を知らない」ということがよくあります。年収も知らないし、貯金額も知らない。自分の収入で自分がよいと思うようにお金を使い、貯めることができていればよいと思っていて、相手が約束通りの生活費を家計に入れていれば問題ないとさえ思っていることが多いようです。
生活費の入れ方は、その家庭によって違います。家賃、水道光熱費など口座引き落としの支出は夫、食費や日用品など財布からの支出は妻、そのほか自分にかかる支出は各自でという取り決めになっていたり、毎月10万円ずつ出し合うというような形を取る夫婦もいます。
出し合った後に手元に残ったお金はすべて自分の小遣い。自由に使うことも、貯めることもできます。自分にとっては自由度が高く、よい管理の仕方だと思えるかもしれませんが、実はこの小遣い部分が多いと、思わぬ落とし穴にはまることがあります。
夫婦で収入を合わせ、貯金を出し合って乗り越えたい時期は、人生の中で2度ほど来るでしょう。子どもを産み育てるとき、マイホームを購入しようとするときです。こういったときに、思っていたより貯金がない、借金があったなど、相手の思いがけないお金の使い方や管理の仕方が明るみに出て、問題化することが珍しくありません。
自分の収入は自分できちんと管理できている、または自分で何とかできるから少しくらいお金を使いすぎても大丈夫だろうという変な自信を持ちがちで、相手も当然できているだろうと思い込み、お金に関しては無関心になる。これが共働き家計が起こしがちな「油断」です。きちんと共有して貯めるという行動ができていないために、気が付いたら大変なことになってしまうのです。
夫婦別財布を強い家計にしていくには
こういった家計のあり方をよりよい方向に転換していくには、「家計を1つに合わせる」ということが一番よいでしょう。ですが、今まで別々だったのに急に1つにするというのは難しいかもしれません。それであれば、できるだけ共有部分を多くして夫婦別財布を維持するということでもよいと思います。
互いのプライドとか、プライバシーを配慮しすぎて、収入や支出については聞かない、ということが一番よくないのです。
別々で管理しているお金から支払うものについては、もしかすると重複している支払いがあるかもしれません。同じものをいくつも買っているなど、お金の使い方そのものに問題があることに気が付かないままになってしまいます。そうなると、家庭の中で貯められるはずだったお金を無駄遣いしているとも言えますから、お金の貯まるペースは非常に遅くなります。
これではちょっともったいないですね。では、どうすれば、ある程度夫婦別財布を維持しつつお金の使い方を効率よくしていけるでしょうか。
夫婦で、家族で、マネー会議の活用を
家計を1つに合わせても、共有部分を多くして夫婦別財布を維持するとしても、大切なのはお金の使い方が共有できているということです。家庭内の収入は合計でいくらあり、支出、貯蓄はいくらあるかを知っていれば、それぞれがお金の使い方を意識できるようになります。
お金の使い方を具体的に話すことで無駄がみつかり、改善へつながるケースもあります。つまり、お金の使い方、価値観について夫婦や家族で合わせておくことができていれば、間違った方向へ行く可能性は少ないということです。
マネー会議で話してほしいことは、以下の通り。
1.収入と支出。支出は何にいくら使ったかを振り返りながら無駄がなかったかを見直す
2.今月の貯蓄額、貯蓄のおおよその総額
3.買いたいと思っているものと、その理由
~家族の同意があれば購入しても可
夫婦や家族で、会話や情報交換を楽しみながらお金についての話もできることが理想です。そうすれば団結力も強くなるでしょう。これが、共働き夫婦の上手なお金の貯め方、使い方につながります。そこから一歩進んで、一緒に投資を考えられるようになると、さらに強くなるでしょう。
まずはしっかり使って貯めることを習慣にしていけるように、「お金について話すこと」から始めてみてください。