米国ダウ平均は昨秋からの下げ幅の84%を取り戻した。2万6000ドル台を回復し、史上最高値更新を視野に捉えるところまで戻った。あと800ドル(3%)上がれば史上最高値を再び更新する。こうなると昨年終盤の下落は、FEDに利上げをやめさせるための催促相場だったように思える。市場のその企みは見事に成功したようだ。

今週はパウエルFRB議長の半期議会証言などもあるが、FEDがハト派路線に転換し、当面はこのスタンスを変えようがないことは市場も理解しているので、相場の材料にはならないだろう。今週は何と言っても大詰めを迎える米中協議の行方が最大の注目である。相当進展があったと報じられている。残るハードルは中国の補助金と罰則規定。AIなどの次世代産業に補助金を集中投下するハイテク産業育成策「中国製造2025計画」に米国は強く反発。しかし、補助金政策は中国の国家資本主義の根幹でもあり、中国もそう簡単に譲歩できないだろう。

また、合意内容が実行されなければ関税を再び引き上げる「罰則」の導入を米国側は要求するが、中国はこれにも反対している。しかし多くの分野で溝が埋まったことは事実で、トランプ大統領にとっては、ここまでやって台無しにするより、ここはなんとか合意にこぎつけ2020年大統領選の成果を誇りたいはずだ。おそらく期限延長という可能性が高いだろう。

注目の指標は米国のGDPと個人所得・消費支出。2018年10~12月期と18年通年のGDP速報値が28日に発表されるが、もともとは1月30日に予定していたものが政府機関閉鎖の影響で1カ月遅れとなった。しかも、28日に発表されるのは速報値と、改定値の算出に使う一部データを使った数値になるという。通常の、速報、改定、確報という手順を踏まない。

3月1日に出る個人所得・消費支出統計も、1月分の統計は所得のみで、支出に関するデータは含まないという。つまり政府機関閉鎖の影響で発表が遅れただけでなく、相当イレギュラーな形となる。データそのものも歪んでいると考えるべきであろう。そのほかではやはりISMと中国の製造業PMI。中国のPMIは2か月連続で改善なるか要注目だ。

出遅れが顕著な日経平均は、まず半値戻しの水準である2万1700円程度を目指す展開か。米中協議進展のニュースフロー次第で2万2000円の大台に迫る展開もじゅうぶんあり得るだろう。

予想レンジは2万1400~2万2000円。