今週の相場動向

相場回顧 BTCはセンチメント悪化の中、悪材料も見られ下落

BTCは、週初より安定した推移となる中、1/28に売りが強まるとBTC=37万円付近まで下落した。

今回の下落については、カナダの仮想通貨取引所QuadrigaCXの破綻懸念が高まったことや、前週のCBOEによる仮想通貨ETF申請の取り下げを受けて投資家心理が悪化したことが影響したものと思われる。先週末に1ヵ月余り続いていた米国政府機関の閉鎖が一時的に解除されることが決定したが、仮想通貨市場における影響は限定的となった。

一方で、株式市場は、FRBの利上げ停止期待や企業決算の好調もあって上向いており、一部資金が仮想通貨市場から流れ出た可能性も考えられる。

XRPは、今週相次いだRipple社と関わりの深いR3社に関する報道を好感してか、買いが強まりBTC建てにおいては小幅ながら上昇した。

 

今週のトピックス

  • bitFlyer、代表取締役を含む役員異動を発表。(1/25)
  • スイスのオンライン銀行Dukascopy、欧州取引所Bitstampと提携。(1/25)
  • 米SEC、政府機関閉鎖の一時解除を受けて4部門で通常業務を再開。(1/26)
  • LocalBitcoins、仮想通貨フィッシング被害の調査報告を発表。(1/27)
  • Kik、SECによるICO取締りに対し裁判も辞さないとコメント。(1/27)
  • Nvidia、第4四半期業績予想を下方修正もマイニング需要減は織り込み済。(1/28)
  • 韓国大手取引所4社がマネロン対策に向けて連携強化。(1/28)
  • カナダの仮想通貨取引所QuadrigaCX、急遽メンテナンスによりサービス停止。(1/28)
  • マーシャル諸島大統領補佐官、発行予定のデジタル法定通貨に言及。(1/28)
  • 仮想通貨取引所ハッキングの6割に2つのグループが関与。(1/28)
  • BinanceのBTTトークンセール、15分で完売。(1/29)
  • Bitpoint親会社、ブロックチェーン金融事業開始に向けた子会社を設立。(1/29)
  • SirinLabs、日本国内でブロックチェーンスマホ「Finny」の販売開始。(1/29)
  • ニュージーランドの仮想通貨取引所Cryptopia、再びハッキング被害か。(1/29)
  • UAEとサウジアラビアが共同開発を進めるデジタル通貨名が「Aber」に決定。(1/29)
  • Brave、米映像ニュースメディアCheddarと提携。(1/29)
  • Bitpay、Wikimedia財団と提携しBTCとBCHでの寄付金受付を開始。(1/29)
  • TokenSoft、トークン発行企業向けウォレットのβ版をリリース。(1/29)
  • Gemini、仮想通貨業界で初めてDeloitteのセキュリティ監査を通過。(1/29)
  • 過激派武装組織ハマスが支持者によるBTCでの支援を呼びかけ。(1/29)
  • CBOEが米SECに対して仮想通貨ETFを再申請。(1/30)
  • Bitpoint親会社、国内ブロックチェーンファンド2社に出資。(1/30)
  • 富士通、ブロックチェーン電力取引で4割効率向上と発表。(1/30)
  • QUOINE、仮想通貨取引の損益計算サービスを提供するクリプタクトと提携。(1/30)
  • LINE、ブロックチェーン領域においてLINE子会社および野村HDと資本提携。(1/30)
  • 米国投資会社Fidelity、機関投資家向けBTCカストディ開始に向け最終テスト段階。(1/31)
  • NEM財団が資金難、リストラを含む大幅な組織改革を検討(その後、NEM財団が一部報道を否定)。(1/31)
  • SBIやマネックスグループ等の仮想通貨事業に携わる国内上場企業が決算発表。(1/31)
  • カナダの仮想通貨取引所QuadrigaCXが先月末に債権者保護申請をしたと発表。(1/31)
  • Binance、クレジット及びデビットカードでの仮想通貨購入が可能に。(1/31)

来週の相場予想

来週の相場予想

BTCは下げ基調継続し底値を探る展開となるか。

市場では、週間のロングとショートの増減が均衡しており、さらに下落すると考える投資家と底値は近いと考える投資家とで分かれている。米国政府機関閉鎖の一時解除後すぐにCBOEが仮想通貨ETFを再申請したことや米国投資会社Fidelityの仮想通貨関連サービスの提供開始が近いことなど好材料も一部見られるが、市場全体として買いに動くには決め手に欠ける。直近下値としてBTC=36万円を割り込むかに注目したい。

来週のトピックス

  • 0X Online Hackathonが閉幕。(2/7)
  • CARDANO(ADA)、ロードマップアップデート。(2/7)

業界関連動向

規制動向 シンガポール通貨金融庁が仮想通貨詐欺サイトへの警告を発表

1/29、シンガポール通貨金融庁(MAS)は政府に関する情報を理由に仮想通貨への投資を勧誘する詐欺サイトへの警告を発表した。

MASが指摘するこれら詐欺サイトでは、「シンガポール政府は正式に仮想通貨を通貨として採用している」というような表記が見られ、サイト上でユーザーに資産情報や個人情報を提供するよう促すという。金銭的ないし個人的情報を盗まれることによって詐欺被害に遭うことは仮想通貨業界に限った話ではなく、当然ユーザーは不用意に情報提供しないよう気をつけなければならない。

MASは先週にも国内企業に対し証券法上の規制に準拠することなく証券トークンの募集を行わないよう警告を発表した。このように規制当局が警告を出しながらも仮想通貨詐欺がなくならないというのが現状だろう。この業界における投資詐欺を減らす為にも、トークン募集プロセスの明確化が急務であるように思う。

技術動向 ライトコイン創業者「LTCは現在ファンジビリティ向上を目指している」

1/28、ライトコイン(LTC)の創設者であるCharlie Lee氏が、現在Confidential Transactionを実装することによるLTCのファンジビリティ(代替性)向上を目指していると、Twitter上で述べた。

Confidential Transactionとは準同型暗号技術によって取引量を匿名化した取引のことであり、代替性とは同じ種類および同じ単位の資産であれば他と全く同じ価値を持つことを意味する。

仮想通貨の匿名性および代替性が重要と考えられるのは、特定の通貨が違法行為に使われることで、同じ通貨であっても価値を毀損する恐れがあると言われているからである。一方で、匿名取引は違法行為を促すという考えもあり、業界では大きく意見が分かれている。

LTCは先週にリブランディングの計画を発表したが、現状は他通貨との差別化ができずに目立った特徴のない通貨となってしまっている。今後新しい技術を導入することでBTCの“補佐役”から自ら“主役”に成り上がることを期待したい。

個別企業動向 R3に関する大きなニュースが相次ぐ

今週はCordaブロックチェーン開発を手掛けるR3に関する大きなニュースが相次いだ。

1/29、SBIホールディングスがR3と合弁会社SBI R3 Japan設立について契約を締結したと発表した。今後はR3の海外拠点とも連携しながら日本におけるCordaのライセンス提供や導入支援等を行っていくという。SBIグループは、R3の外部筆頭株主として、これまでも国内におけるCordaのトレーニングプログラムを提供してきた。

1/30、国際送金システムとして知られるSWIFTが、クロスボーダー取引の効率化に向けたR3との提携を発表した。今後は、今や国際送金における世界標準ともなっているSWIFT開発のグローバル・ペイメント・イノベーション(GPI)とR3開発のCordaブロックチェーンとの統合を進めていくという。中でも、ブロックチェーンの活用により貿易取引における決済効率化が進むと期待されている。

1/31には、SBIホールディングスが決算発表の場でR3との提携について言及した。

これらRipple社と関わりが深いR3の報道を好感してか、今週はXRPが高騰した。引き続きSBIやR3そしてSWIFTらXRP界隈の動きからは目が離せない。

コラム メダルゲームをするくらいの感覚で仮想通貨投資を始めてみてはどうか

つい最近、友人と地方に遊びに行った時のことである。帰りのバスまで時間があったので、私たちはバス停近くの古びたゲームセンターに入ることにした。中に入ると、騒音とも言えないどこか心地の良いうるささが襲ってくる。UFOキャッチャー、なかなか取れなくて透明な壁を叩いたな。格闘ゲーム、よくわからなくて4つあるボタンを適当に押したら意外と勝てたな。プリクラ、高校の時に恥ずかしげもなく男だけで撮ったな。ゲーム機を見る度に自ずと昔が思い出されたが、1つだけ昔とは違う見え方をするものがあった。それがメダルゲームである。

メダルゲームと言えば、お金すなわち法定通貨をメダルに替えて、その“通貨”を使って様々なゲーム機で遊ぶことができるというものだ。(仮想通貨の購入?)ゲームに勝つことができれば報酬として“通貨”は増え、逆に負ければ“通貨”は減る。(投資的要素?)それぞれのゲーム機はプログラムによって規定されており、第三者による介入を受けない。(Dapps?)なぜ、大人を含めた遊び手はメダルゲームに夢中になるのか。それはゲームから持続的な楽しさが得られるからである。(インセンティブ?)カードを使ってメダルをストレージすることもできる。(ハードウォレット?)遊び手同士がゲームを通して相互作用するという性質は弱いが、ここには一つのトークンを介した特殊な世界が出来上がっている。

もう少し「投資」に焦点を当てた見方をしよう。メダルゲームは、賭博行為が禁止されている日本で、賭博を疑似体験できるものを作ろうということから始まった。確かに、どんなにゲームでメダルを増やしても、一度替えたメダルを法定通貨に戻すことはできない。メダルゲームで儲けることはできないのである。しかし、先述したようにメダルゲームには投資的要素があり、私たちは幼い頃にそれを経験している。だとするならば、なぜ仮想通貨への投資を躊躇うことがあろうか。仮想通貨は100円からでも投資が可能である。絶対に儲けられないメダルゲームの100円と、もしかしたら数倍数十倍になるかもしれない仮想通貨の100円、どちらにお金を投じるべきか言うまでもない。

そんなことを考えながら、大の大人が色々なゲームをしながら子どもみたいにはしゃいでいたわけだが、やはり年齢関係なしにゲームセンターは面白かった。金銭的に損はしたが、自分の中に少年の心がまだ残っている、そう思えただけでもこの時間潰しに投じた500円には価値があった。あの頃に戻ってメダルゲームをやろう。そんな気持ちで仮想通貨投資を始めてみてはどうだろうか。今では仮想通貨を使ったゲームも増えてきている。ゲームセンターにある “ゲーム機”で損をしたというのであれば、精神的に落ち込むこともなく「投資」というゲームを楽しむことができると私は思う。

 

編集校正:マネックス仮想通貨研究所