当たり前のことを言いますが、今お金を使いすぎている人が急に貯蓄をできるようになるというのは、容易なことではありません。今使っているお金は無意識、あるいは意識して現在の自分の価値観を表しているため変えにくいのです。
支出は、「固定費」「変動費」に大別できます。この2つの種類に分かれていることを生かし、効果的な節約方法と、目指すべき割合についてお伝えしたいと思います。
固定費は見直し効果がずっと続く
固定費は、毎月一定額かかる支出です。住居費、生命保険料、通信費、教育費、小遣い、ペットにかかる費用、自動車などのローン、毎月課金されるアプリや有料テレビ代、毎月定期購入するコンタクトレンズなどといったものが該当します。ここを一度見直すと、その効果は自然にずっと続くので、無理ない節約方法として多くの人が取り組みやすく、私もお勧めしています。
見直すには、まず我が家の固定費には何があるのか、書き出してチェックしていくとよいでしょう。「生命保険料が高いけれど、見直したら安くなるかな」とか、「通信費の節約にはよく格安スマホといわれるけれど、私たち家族はこのままでいいのかな」とか、まずはそういう見方から始めることでよいと思います。
有料テレビやアプリは、毎月の料金に見合っているのかな、そういう自分への問いに対し「見合っている」と自信を持っていえるようであればそのままでよいでしょう。「変える余地がある」と思ったのなら、早速行動の開始です。
契約プランを見直したり、解約したり、少し腰を上げて行動しなくてはいけませんが、やれば成果に結びつきます。
変動費は1週間分の予算を作って管理する
変動費は、毎月支払い額が異なります。「節約しよう」と思ったら、維持と根性、モチベーションだけでもなんとか下げられる支出です。節約するといえばまずここに取り掛かろうとしがちですが、結局は慣れないこと、生活になじまないことに取り組むので、長続きせず、挫折しがちになります。モチベーションが下がった時も、成果は出ません。
要するには瞬発力を重視した節約法となってしまいます。支出としては、食費、水道光熱費、日用品代、被服費、交際費、娯楽費、嗜好品代などです。これらを上手に管理するにはルールを作ることが有効です。洋服代などのように、1ヶ月の中で支払い頻度が少ないものは、「欲しいと思っても2~3日考える、間を空ける」ということをルール化すると冷静になってコントロールしやすいでしょう。食費や日用品代などの毎日の支出になりがちなものは、1週間分の予算を作って管理することがお勧めです。
実際にやることは、決まった曜日に1週間分の予算額を財布に入れ、翌週の同じ曜日に財布の中身をリセットして、また1週間分の予算を入れるだけ。リセットまでにお金が不足したら、やむを得ず翌週の予算から前借りします。その場合、翌週は予算から前借り分の金額を引いた金額でやりくりします。
こうすると、1週間の支出のペースが分かってくるので、使いすぎの状態もすぐわかり、セーブをかけやすくなります。
貯蓄もできる「固定費」「変動費」の理想的なバランス
固定費、変動費はお金の出方も、その節約の仕方も異なるものですが、生活においては両方存在します。そして、月収に対しての理想的な割合というものもあります。私のところに家計相談に来る人のうち、黒字で貯められている家計をデータ化してみると、その9割以上の人の固定費が40~50%でした。変動費は8割強の人が30~40%です。そして、貯蓄は10~30%できているという結果も見えました。
こういった数字をもう少し一般化すると、黒字であり、貯蓄もできている家計は「固定費:変動費:貯蓄=45:35:20」です。
対して赤字の家計は固定費65%、変動費45%というのが平均で、貯蓄はできていません。固定費、変動費、どちらかに偏る傾向が強く、特に固定費の割合が増えがちです。
固定費、変動費にあてたい割合も、各家庭によって異なるとは思いますが、「節約したい。」と思ったときに、前述の割合を参考にすれば、改善していけるのではないかと思います。