1.概況
本日の日本市場は米雇用統計の発表を控えて上値が重いなか小幅続伸となりました。ナスダック総合株価指数がおよそ1カ月ぶりに史上最高値を更新するなど米国市場が上昇したことで87円高の19,733円で寄り付いた日経平均は上値が伸び悩むと14円高まで上げ幅を縮めました。その後やや持ち直し前場を38円高で取引を終えた日経平均は、後場に入り12時40分過ぎにマイナスに転じ26円安まで下落する場面もありました。しかし、下げ渋ると切り返し上げ幅を64円高まで広げ再び19,700円台に乗せました。引けにかけてやや上げ幅を縮めた日経平均は結局45円高の19,691円と3日続伸となっています。なお、週間ベースでは238円高となり7週間ぶりの反発となっています。東証1部の売買代金は米雇用統計の発表を控えて様子見となるなか1兆9028億円と3日ぶりに2兆円を割り込んでいます。また、新興市場も堅調で東証マザーズ指数が3日続伸となったほか、日経ジャスダック平均も9日続伸となり連日で年初来高値を更新しています。
2.個別銘柄等
ユーロ円建ての新株予約権付社債(転換社債)を発行して1400億円を調達し、今後購入する航空機への支払いのほか、700億円を上限とする自社株買いに充てると発表したANAホールディングス(9202)が一時3.7%高まで買われ年初来高値を更新しました。転換社債の株式交付に上限を設け、低コストでの資金調達と希薄化を懸念する既存株主にも配慮したスキームが好感されました。また、パーク24(4666)が6.3%高と大きく上げました。昨日の取引終了後に発表した第3四半期(2016年11月-2017年7月期)決算で営業利益は前年同期比8.0%減となりましたが、5-7月期3カ月間のレンタカーとカーシェア事業の営業利益が大幅に伸びたことが好感されました。さらにジンズ(3046)も国内大手証券の目標株価引き上げを受けて3.6%高となっています。マザーズ市場ではそーせいグループ(4565)が一時11%余り上げました。英子会社がアイルランド製薬大手のアラガンと新薬候補の臨床試験を実施するに当たって試験開始に伴う一時金として1500万ドルを受領すると発表したことで買いを集めました。一方で目標株価引き下げを嫌気してフジクラ(5803)が一時3.6%安となる場面もありました。三菱重工業(7011)も投資判断と目標株価の引き下げを受けて軟調となっています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
昨日のTOPIXに続いて25日移動平均線(19,692円)の回復が期待された日経平均ですがわずかに届かず本日はお預けとなりました。本日の日本時間21時30分に米雇用統計の発表を控えていることもあって上値が伸び悩みました。週明けの日本株は米雇用統計に対する今晩のマーケットの反応次第ですが、仮に25日移動平均線を抜けてくるようなら先月29日に200日移動平均線を試し底堅さを確認して切り返してきただけに調整一巡への期待も高まりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)