1.概況
本日の日本市場は円安を好感して続伸となりました。昨日の米国市場が休場で材料に乏しいこともあって16円高の19,267円と小動きで寄り付いた日経平均ですが、113円台前半から113円台後半へと円安が進むのに歩調をあわせて上げ幅を広げる展開となりました。前場の10時半すぎに115円高まで買われた日経平均は一旦上げ幅を二桁に縮める場面もありましたが、後場に再び上げ幅を三桁に広げ高値圏で堅調に推移すると引けの10分余り前には144円高まで買われ本日の高値を付けました。結局、日経平均は130円高の19,381円で取引を終えています。商いは本日も低調で、東証1部の売買代金は1兆6540億円と昨日に続いて2兆円を割り込んでいます。また、新興市場も堅調で東証マザーズ指数が続伸となったほか、日経ジャスダック平均は8営業日続伸となり連日で昨年来高値を更新しています。
2.個別銘柄等
石炭や重油といった原燃料価格の上昇に伴う製造コストの増加分を価格に転嫁するため印刷用紙の流通業者への販売価格を15-20%以上値上げするとの報道を受けて日本製紙(3863)が6.8%高と大きく上げました。他の紙パルプにも買いが波及し、王子ホールディングス(3861)も4.4%高となっています。投資判断や目標株価の引き上げに大きく反応する銘柄もみられました。国内大手証券の投資判断と目標株価の引き上げを好感してDMG森精機(6141)と日本精工(6471)、NTN(6472)が高く、DMG森精機が5.9%高、日本精工が2.1%高、NTNが5.1%高となっています。MonotaRO(3064)と良品計画(7453)も外資系証券の投資判断と目標株価の引き上げを受けて買われ、MonotaROが2.9%高、良品計画が2.7%高となりました。一方でさくらインターネット(3778)が10.9%安と急落しています。通期の業績予想の下方修正とあわせて新株の発行と売り出しを発表したことが嫌気されました。公募増資と自己株処分のための売り出しを発表した大垣共立銀行(8361)も10.8%安と急落しています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
本日のドル円は、タカ派で知られるハーカー・フィラデルフィア連銀総裁の「3月利上げを排除せず」という講演での発言を受けて円安が進みました。今晩もカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁などの講演が予定されていますが、講演での発言を受けてさらに円安が進めば日経平均が19,500円の節目を試す展開もありそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)