1.概況
本日の日本市場は113円台前半まで進んだ円高を嫌気して続落となりました。118円安の19,228円で寄り付いた日経平均は取引開始後30分余りで174円安まで売られると切り返し10時半すぎには72円安まで持ち直しました。その後も下げ幅を二桁に縮める場面が何度かみられましたが、上値は重く三桁の下げを続けると112円安の19,234円で取引を終えています。東証1部の売買代金は週末で様子見ムードが強いなか2兆121億円となんとか2兆円を上回っています。また、新興市場では東証マザーズ指数が5日ぶりの反落となった一方で、日経ジャスダック平均は小幅に6日続伸となり連日で昨年来高値を更新しています。

2.個別銘柄等
円高で自動車やハイテクといった輸出関連株には下げるものが目立ちました。トヨタ(7203)や日産(7201)、ホンダ(7267)といった自動車株が軟調だったほか、日立(6501)やパナソニック(6752)、ソニー(6758)なども下げています。東芝(6502)は本日も売りが止まらず9.2%安となり、決算発表を延期した14日から本日までの4日間で26%余りも下げています。こうしたなかで堅調だったのが本日の寄り付き前に通期の業績予想の上方修正を発表したシャープ(6753)で、原材料の購入について変更契約を結んだことで売上原価が減少し、赤字を見込んでいた経常損益が一転して黒字になる見込みとなったことから一時4%高となる場面もみられました。TDK(6762)も外資系証券の投資判断と目標株価の引き上げを受けてしっかりでした。そのほかトレンドマイクロ(4704)やニチイ学館(9792)が大きく上げています。トレンドマイクロは市場予想を上回る2017年12月期の業績予想が好感され9.3%高と急伸し、東証1部で上昇率2位となりました。ニチイ学館は日本生命保険と共同で保育事業を展開するとの報道を受けて4.6%高となっています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
今週は日米首脳会談を無事通過したことで昨年来高値の更新も期待されましたが、19,500円の節目で上値を押さえられ、日経平均は週間で小幅にマイナスとなってしまいました。米国市場でダウ平均は連日で史上最高値を更新しましたが、日経平均が19,500円に迫ったところでの円安一服が重石となりました。来週もドル円の動向に神経質な展開が続きそうですが、下値を試す場面では19,100円辺りにある25日移動平均線や一目均衡表の雲の上限を維持できるか、反対に上値を試す場面では19,500円を抜けていけるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)