1.概況
本日の日本市場は円高が重石となり反落となりました。円安一服となっていることもあって6円安の19,431円で寄り付いた日経平均はしばらく下げ渋っていたものの、ドル円が114円を割り込むと下げ幅を広げ11時前には180円安近くまで売られました。その後持ち直し下げ幅を二桁に縮めましたが、19,300円台半ばで上値を押さえられた日経平均は90円安の19,347円で取引を終えています。一方で新興市場は堅調で、東証マザーズ指数が小幅に4日続伸となったほか、日経ジャスダック平均も5日続伸となり昨日に続いて小幅に昨年来高値を更新しています。
2.個別銘柄等
引けは1.7%高に止まりましたが、セイコーエプソン(6724)が一時4.0%高となる場面がありました。東芝(6502)が半導体事業の売却手続きを来期以降に先送りするとの報道が伝わり、今期末の債務超過が避けられず2部市場への指定替えで日経平均採用銘柄から外れるとの見方が強まるなか、東芝に代わってセイコーエプソンが日経平均に採用されるのではとの思惑から買いを集めました。昨日まで2日連続で8%以上下げた東芝は本日も3.3%安となっています。また、2017年12月期の業績見通しを好感した買いが続き大きく上げる銘柄がみられました。東洋ゴム工業(5105)は2016年12月期に赤字となった最終損益が黒字転換する今期予想を発表し10%余り上昇した昨日に続いて本日も11.9%高と急伸し東証1部で上昇率5位となりました。大幅増益となる今期の見通しが好感され昨日に3%以上上昇した井関農機(6310)は本日も5.0%高と大きく上げています。一方で重要な経営課題について午後3時から会見を開くと伝わったANAホールディングス(9202)が10時過ぎから下げ幅を広げ一時7%以上下げる場面もありました。その後会見の内容が全日本空輸の社長人事だと伝わると下げ幅を大きく縮め引けは1.3%安となっています。アスクル(2678)も物流センターで火災が発生したと伝わったことで6.6%安と大きく下げ、東証1部で下落率トップとなりました。そのほか半導体製造装置メーカーの一角が売られました。東京エレクトロン(8035)が投資判断の引き下げで2.2%安となり、日立国際電気(6756)は投資判断と目標株価の引き下げで3.4%安と大きく下げています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
昨日の米国市場では主要3指数は揃って史上最高値を更新しましたが、本日の日経平均は反落となりました。一昨日もそうでしたが、米国市場がしっかり上昇しても円安が一服すると上値が重くなり、さらに円高になると下げ幅を広げるといった展開が続いています。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受けてここにきて3月の利上げもマーケットでは意識され始めていますが、こうしたなかでさらに円安が進むかが、日経平均が昨年来高値を試すうえでのポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)