1.概況
本日の日本市場は円高を警戒した売りから反落となりました。65円安の18,942円で寄り付いた日経平均は取引開始後30分近くで118円安まで下げ幅を広げましたが、朝方に111円台後半で推移していたドル円が112円台を付けたことから切り返すと11時過ぎには16円安まで持ち直しました。前場を36円安で終えた日経平均は49円安と前引けから小幅に値を下げて後場の取引をスタートさせると再び100円安余りまで下げ幅を広げました。その後、前場の安値を下回ることなく下げ渋ったこともあって小幅に持ち直す場面もみられた日経平均ですが、引け際に一段安となり132円安まで売られ本日の安値を付けました。引けでやや戻した日経平均は結局99円安の18,907円で取引を終えています。また、新興市場では東証マザーズ指数が反落となったほか、日経ジャスダック平均も4日ぶりの反落となっています。

2.個別銘柄等
引けは0.6%高に止まったものの、ソフトバンクグループ(9984)が一時3.4%高まで買われ売買代金でトップとなりました。昨日の引け後に発表した決算で傘下の米スプリント(S)の採算が改善したことなどもあって営業利益が二桁の増益となったことが好感されました。同じく昨日の取引終了後に決算を発表したディー・エヌ・エー(2432)も任天堂(7974)との協業で配信した「スーパーマリオラン」の収益が寄与しモバイルゲーム事業が堅調だったことで一時7%高近くまで上昇しました。2016年12月期の決算を発表したSUMCO(3436)もこの1月からの半導体シリコンウエハーの値上げで第1四半期(2017年1-3月期)の営業利益が前年同期比で93.7%増となる見通しを示したことに加え、国内大手証券による投資判断と目標株価の引き上げもあって6.2%高となっています。一方で第3四半期の営業利益の実績が二桁の減益となったカネカ(4118)と、通期の業績予想を下方修正した荏原製作所(6361)が急落し、カネカは東証1部で下落率トップとなっています。そのほか日立(6501)が8.0%安と急落し、売買代金で3位となっています。南アフリカの火力発電所建設で発生した損失負担を巡り三菱重工業(7011)から約7634億円の請求を受けたと発表したことで売りが嵩みました。上場廃止や2部に降格した場合の売り需要を試算したレポートを手掛かりに東芝(6502)が後場に一段安となり一時12%以上下げる場面もみられました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
一時16円安まで下げ幅を縮めた日経平均ですが、節目の19,000円を前に上値を押さえられ戻し切れませんでした。一目均衡表の雲の上限や25日移動平均線が19,100円あたりに控えていることから19,000円から上は日米首脳会談を前に買いにくいということなのかもしれません。明日は日米首脳会談を控え一段と様子見ムードの強い一日となりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)