比較的波乱の少なかった2017年
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2017年があっという間に過ぎ去りました。大幅な原油安、日銀のマイナス金利導入、英国のEU離脱(Brexit)、トランプ氏の大統領選勝利など波乱の多かった2016年に比べると2017年は比較的落ち着いた年であったのではないでしょうか。もちろん北朝鮮の度重なる軍事挑発、ミャンマーのロヒンギャ迫害問題など憂慮すべき問題は山積ですが「マーケット」についてはあまり大きな波乱はありませんでした。ダウ平均の史上最高値更新、日経平均の史上初の16連騰や26年ぶりの高値更新など株高関連のニュースが多かったと言えるかもしれません。
本銘柄フォーカスでは改めて国内外の2017年のマーケット動向を振り返ってみます。
好調だった国は?
まず、世界の主要な株価指数を見てみましょう。表1は主要国の代表的な株価指数の2016年末と2017年末の終値を比べたものです。
米国、日本、ドイツ、オーストラリア、中国、インド、ブラジル、ロシアと8つの主要な先進国・新興国の株価指数を比較しました。最もパフォーマンスが良かったのはインドのセンセックス指数で、27.9%上昇しました。ブラジルのボベスパ指数も26.9%の上昇とほぼ同水準の好パフォーマンスとなりました。続いて米国のダウ平均が25.1%、日本の日経平均が19.1%と続きます。ドイツのDAX指数やオーストラリアのASX200指数も上昇はしたものの10%前後にとどまっており、このように並べてみると日経平均が世界の株価指数の中でなかなかの好パフォーマンスだったことがわかります。
また、中国の上海総合指数は6.6%の上昇と主要国の中ではやや低いパフォーマンスとなりました。ロシアのMICEX指数は8カ国の中で唯一の下落となりました。原油・金のコモディティはそれぞれ10%強上昇しました。2017年は基本的に世界的にリスク選好の株高のマーケットだったと整理してよさそうです。
日本株の動向は?
では続いて日本株について細かく見ていきましょう。前述の通り2017年に日経平均は史上初の16連騰を記録、26年ぶりの高値をつけ年間で20%近く上昇するなど好調でした。国内のその他の主要指数や業種別の指数動向は以下のとおりです。
表2をご覧いただくと、国内の主要指数の中で最もパフォーマンスが良かったのは日経ジャスダック平均で44.2%、続いて東証2部指数で39.1%、東証マザーズが30.7%と新興市場を中心に特に個人投資家に選好される市場が好成績だったことがわかります。規模別株価指数を見ても、小型株>中型株>大型株の順にリターンが良くなっており、2017年は特に小型株が有利な1年だったと整理できそうです。
続いて表3は東証33業種指数の成績です。2016年と2017年の騰落率および騰落順位を記載しています。
2017年に最も好調だったのは「石油・石炭製品」で50%を上回る大幅上昇となりました。原油価格が堅調だったことが要因とみられます。「空運業」、「非鉄金属」、「電気機器」、「化学」、「その他製品」などが30%を上回る好パフォーマンスでした。一方で「電気・ガス業」が唯一のマイナスとなったほか、「不動産業」「証券・商品先物」「銀行業」「陸運業」「輸送用機器」「その他金融業」は一桁パーセントの上昇にとどまりました。「電気・ガス業」や「陸運業」は原油価格の上昇によるコスト高や原発を巡る不透明感などが株価低迷につながったとみられます。また、金融セクターも全般的に株価が冴えませんでした。金融セクターの本年の見通しについてはチーフ・アナリストの大槻奈那がレポートで述べておりますので、ぜひご覧ください。
2016年と2017年の騰落順位を比較すると、2016年に騰落順位が上位だった業種は概ね2017年の騰落順位でも上位に入っており、2016年に騰落順位が下位だった業種は2017年も概ね下位に入っています。業種別のパフォーマンスは2年連続で同じような傾向でした。果たして2018年はどうなるのでしょうか。
最も上昇した銘柄・下落した銘柄は?
最後に市場別の好調・不調銘柄をご紹介します。東証1部・東証2部・新興市場(マザーズ・ジャスダック)のそれぞれについて2016年末の終値・2017年末の終値を比較し上昇率が大きかった銘柄と下落率が大きかった銘柄を10銘柄ずつ表にしています。
以上が2017年に大きく上昇・下落した銘柄ですが、これだけを見てもあまり投資への示唆を得ることはできません。そこで今回は、前年にパフォーマンスが良かった銘柄・悪かった銘柄の翌年のパフォーマンスを調べてみました。具体的には一昨年2016年の上昇率が大きかった銘柄、下落率が大きかった銘柄の昨年2017年の動向をまとめました(東証1部のみ)。すると、 2016年に大きく上昇した銘柄は、2017年もすべての銘柄が上昇していました。さらに10銘柄の平均上昇率は70.9%とTOPIXの上昇率を大きく上回っています。一方で、2016年に大きく下落した銘柄は10銘柄中8銘柄が上昇したものの、平均上昇率は14.5%とTOPIXの上昇率を下回りました。2017年に関しては大きく下落した銘柄を買う逆張り戦略よりも、大きく上昇した銘柄を買う順張り戦略がうまくいきやすかったと言えそうです。2018年はどちらが功を奏すのかぜひご注目いただければ幸いです。