サンプラザ中野くんだー!

それは加藤和彦さんだ。加藤さんの音楽は俺の礎なのだ。

小学校に上がる直前に俺は「帰って来たヨッパライ」に打ちのめされた。いや、打ちのめされるほどの音楽的素養は持ち合わせていなかった。なので、打ち込まれた、という感じかな。でっかい杭をハートに、ね。

テレビから流れてきたその音に俺はすばやく深く反応した。そして母にねだった。「このレコードを買ってくれ」「すぐに」と。母はすぐさま家を出た。そして千葉県市川市の駅近くのレコード店を数件回った。なぜならば大ヒット中で売り切れ続出だったからだ。そしてしばらくの後、1枚のそれを手にして帰ってきた。俺はそのレコード盤を早速プレイヤーに乗せた。そして異変に気づいた。そのEPの縁が2センチほど小さく欠けていたのだ。母は言った。「実はすべて売り切れだった」「でもどうしても今日欲しいと御願いしたら店内放送用の一枚があると言ってくれた」と。そして縁の欠けた使用中のレコード盤を買ってきてくれたのだ。いい母である。いい店主さんである。

俺は文字通り擦り切れるほどにそれを聴いた。そこにはポップとギャグとロックがあった。絶妙な匙加減をもってそこにあった。その絶妙な匙加減こそが加藤和彦の存在の重さなのである。

俺は爆風スランプの匙加減は加藤和彦さんから学んだものだと思っている。加藤氏のポップとギャグとロックの匙加減、それはキヨシローさんにも受け継がれていたのではないかなと思う。これは推測なのだけどね。

加藤さんはミカバンドのあとソロ活動をしていた。3部作が素晴らしいのだった。俺は浪人だった。そして大学生となりバンド活動を始めたときだった。美しくて繊細。たいそう聞き込んだ。

一度だけお目にかかったことがある。御願いして握手していただいた。背がたいそう高く、オシャレな方だった。

「悲しくてやりきれない」という名曲がある。配信サイトで購入して聴こうと思う。

しかし何という年だ。俺の偉大な先生が二人も世を去った。俺は歌うことをちゃんと続けなければと勝手に思った。ありがとうございました。

さて、いよいよ株価が下がりだすのかな?

24日に札幌でライブがあります ゲストですが
http://efunk.info/live.html

サンプラザ中野くん
数々の爆発的ヒット曲を生み出してきた「爆風スランプ」で活躍。自身のホームページでも意外な側面を見ることができる。
http://spnk.jimdo.com/