サンプラザ中野だー!
9月15日月曜日祝日。阪神タイガースがセリーグを制覇した。18年ぶりだった。その日そのとき、俺は甲子園にいた。全てをこの眼で見届けた。

14時試合開始。広島が先制。そのままリード。前日までロードで連敗が続いていた。今日もダメか、とあきらめが頭をよぎる。しかし9回裏、ドラマは待っていた。満塁の場面で赤星が登場。星野監督に呼び止められ「何か」を告げられる。そして初球をライトに運んだ。前進守備の外野手の頭上を越える見事なサヨナラ安打。甲子園は興奮の坩堝。この時点でマジックを1とした。
そしてそのマジック1の対象チームはヤクルト・スワローズ。こちらのゲームは16時にスタート。横浜スタジアムでベイスターズとの対戦だ。甲子園球場のスコアボードにある巨大なヴィジョンに、その試合の中継が映し出される。満員の甲子園の観客は(ごく少ない広島の応援団以外)一人も帰ることなく、横浜対ヤクルトの試合を見守った。もちろん俺も見守った。

横浜スタジアムの試合は始めこそヤクルトが大量リードした。しかし阪神ファンの応援も追い風となったのか、中盤に横浜が大逆転。甲子園球場は安心感の中に。そして近付いて来たその瞬間を想像して、にんまりとするばかりなのであった。関係者も同様であった。「おめでとうございます」「おめでとうございます」。球場内にあるレストラン「蔦(ツタ)」では、すでに口々に祝賀の挨拶が。まるで新年を迎えたかのようである。いや、にじみ出る喜びの度合いが遥かに高かった。

横浜スタジアムの試合終了が近付いてきた。すなわち我らの阪神タイガースのリーグ優勝の決定も近付いてきたのだ。暑かった甲子園のグラウンドも今は夜。ともされたカクテル光線に、緑の芝生が映えている。日暮れと共に徐々に明るさを増していったグラウンド。まるで世紀のコンサートの始まりを待つステージである。幸せに包まれた観客は巨大なウエーブを何周も回し、興奮を共有していく。ダッグアウトには選手の姿。ウエーブに参加する者もいた。

そして横浜スタジアム、最後の打者が凡打でアウト。その瞬間歓声と共にステージを目指して駆け出す縦じまのユニホーム。興奮がはじけた大観衆。たかれるフラッシュのきらめき。美しいものを見た。この眼でしっかりと見ることができた。ちょっと滲んで見えていた。

そのときの甲子園の状況、上手く伝える事ができただろうか?とにかく今もにんまりな俺なのである。皆さんありがとう。
優勝決定の翌日。阪神鉄道株は下がっていた。ご祝儀相場で騰がるかな、とも思ったが。相場は冷静だったのね。

サンプラザ中野:数々の爆発的ヒット曲を生み出してきた「爆風スランプ」で活躍。現在新たに「サンプラザ中野とノンスモーカース」を結成。
自身のホームページでも意外な側面を見ることができる。
http://www.kk.iij4u.or.jp/~sunplaza/