先週17―18日に行われたFOMCを通過し、その後の市場は基本的にドル売りの反応を見せています。一口に言えば、やはり「事前の市場は(6月米利上げの可能性大という)一方向に偏り過ぎていた」ということになるでしょう。参加メンバーらが金利予想と経済見通しをともに下方修正したことは、市場にとってそれなりに大きなインパクトでした。

年初来、米雇用統計のヘッドラインの数値が強めであったと伝わるたびにドルは下値を切り上げてきましたが、今回のFOMCでは「ヘッドラインの数値は米雇用の一面を示しているに過ぎない」ということを、あらためて認識させられたように思います。本欄の2月18日更新分では米労働市場情勢指数(LMCI)の話題を取り上げましたが、やはり今後はこうした指標にも目を光らせておく必要があると言えるでしょう。

前回(3月18日)更新分で指摘したように、FOMC前のドルは対ユーロで大きく上昇することとなり、3月13日にはユーロ/ドルが一時1.0462ドルまでの下落と、年初から形成されていると見られる中期的な「下降チャネル」の下辺に到達する動きとなりました。しかしながら、FOMC通過後のユーロ/ドルは下図・右に見るとおり、大きく切り返す展開となり、昨日(24日)は一時1.1029ドルまでの上昇と、前述したチャネル上辺あたりまでの戻りを見せる展開となっています。

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とりあえず、チャネル上辺あたりまでの戻りを見たことで、今後のユーロ/ドルは少々上げ渋りやすくなる可能性もあるものと見られます。昨日の高値が3月18日高値=1.1043ドルに接近しながらも同水準を超えられなかったことで、戻り売りの動きが生じやすくなっていることも事実です。目先は、21日移動平均線(21日線)を再び下抜けるかどうかに注目しながら、あらためてチャネル上辺を試すような動きとなるかどうかについても見定めて行きたいところです。

一方のドル/円は、本欄の3月11日更新分で指摘したとおり、FOMC前の3月10日に一時122.02円までの上昇と、中期的な上昇チャネルの上辺に到達する動きを見せていました。しかし、FOMC通過後は一気に水準を切り下げ、そのままチャネル下辺が位置する水準まで下押しする展開となりました(上図・左参照)。

3月18日の終値と翌19日の終値は21日線よりも上方に留まっていましたが、20日には終値で21日線を下抜け、昨日は一時的にチャネル下辺を下抜ける場面もありました。当然のことながら、目先はこのチャネル下辺水準から切り返すのか、それともチャネル下辺を下抜けてしまうのかが大いに注目されるところとなります。

仮にチャネル下辺を下抜けたならば、それは1月半ばごろから続いてきた上昇トレンドが一旦崩れてしまうことを意味します。下方には一目均衡表の日足「雲」が控えており、それは一定の下値支持役として機能することと思われますが、この日足「雲」さえも下抜けるような展開となれば、さらに一段の下値リスクへの警戒を要することとなるでしょう。

ここにきて、市場では「米利上げの開始時期が6月から9月にずれ込んだ」との思惑が広がりつつあるとも言われます。よって当面は、市場の思惑に生じる変化を敏感に読み取りながら、押し目買いの好機をじっくりうかがう時間帯になるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役