前回更新分で「ユーロ/ドルの下落には一旦調整が入りやすい」と述べました。実際、ユーロ/ドルは1月26日に一時1.1098ドルの安値を付けて目先底打ちし、昨日(3日)は一時1.1500ドル台を回復する動きとなりました。結果、しばらく上値抵抗となっていた昨年12月16日高値からのレジスタンスラインならびに一目均衡表(日足)の「転換線」を上抜け、目下は21日移動平均線(21日線)を試す動きとなっています。

いまだギリシャ債務問題の行方はハッキリとしませんが、市場の懸念は1月25日に行われた総選挙の前後よりもやや薄らいでいます。今後の戻りは自ずと限られるものと思われますが、2月の月足ロウソクが数カ月ぶりに一旦「陽線」に転じるのかどうか、大いに注目しておきたいところです。

一方、ユーロが多少反発してきていることもあり、相対的にドルの上値は少々重くなっています。当然、ドル/円も依然として上値の重い展開が続いており、昨年12月以来のこう着状態が続いています。ここで、あらためてドル/円が現在おかれている状況を確認しておくことにしましょう。

まず、チャート上のドル/円は、下図に見るとおり「昨年12月8日高値とその後の高値を結ぶレジスタンスライン」と「昨年12月16日安値と今年1月16日安値を結ぶサポートライン」とに挟まれた『三角保ち合い(トライアングル)』のなかでの推移となっています。また、1月13日以降は日足「雲」のなかに潜り込んだ状態となっており、この「雲」上限が一つの上値抵抗となっていることもわかります。

さらに、日足の「遅行線」が日々線を下回る水準での推移を続けており、本欄の1月21日更新分でも想定したように、しばらくは「もみ合いの状態が続きやすい」と思われるチャートのパターンにどっぷり浸かってしまっていると言えます。少なくとも、昨年10月半ばの調整時に比べて日足の「雲」や「遅行線」と日々線との位置関係がまったく異なっていることは明らかです。

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目先は、1月初旬あたりからこれまで見事なまでにドル/円の上値を押さえ続けてきた21日線を上抜けるかどうかが注目されます。同水準を上抜けた場合には、とりあえず日足の「雲」上限や前述したトライアングルの上辺を試す動きとなる可能性が高いと見られます。逆に再び下値を試す展開となった場合には、まず1月21日以降、短期的な下値サポートとして機能している117.20-40円の水準を終値で下抜けるかどうかに注目する必要が生じます。この短期サポートを下抜ければ、やはり前述したトライアングルの下辺を試す展開となるでしょう。

いずれにしても、このトライアングルがもう少し煮詰まる(上辺と下辺の幅が縮まる)まで基本的に保ち合いの展開が続く可能性はあると言えます。とはいえ、それにも自ずとタイムリミットはあり、チャート上では2月下旬から3月にかけて日足の「雲」にネジレが生じる点が注目されます。この時期あたりまでに、このトライアングルを上放れる、あるいは下放れる動きが見られるようになる可能性があり、当面はそうした点も念頭に置いたうえでドル/円相場と向き合う必要があるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役