前回述べたように、なおもユーロ/ドルは軟調地合いを続けています。昨日(29日)は一時1.3404ドルまで下押す場面もあり、やはり目下は週足の一目均衡表に見る週足「雲」下限の水準が相当に意識されているものと思われます。
週足「雲」との関係が重要なのはドル/円も同様であり、7月の第2週から終値で週足「雲」のなかに潜り込んだドル/円は、先週末時点でも週足「雲」上限に上値を押さえられる格好で推移していました。ただ、本日(30日)時点における今週の週足ロウソクは週足「雲」上限(101.89円)を上抜けるような格好となっており、週末の終値時点においても上抜けた格好となるかどうかが大いに注目されるところです。
振り返れば、7月のドル/円は月間の最高値が3日につけた102.27円、最安値が10日につけた101.07円で、その値幅はわずか1.20円(執筆時現在)という極めて狭い範囲内での値動きに終始してきました。このまま月末まで102.27円を超えないようなら、月間の最小値幅記録更新ということになるものと思われますが、果たして本日と明日の2営業日で目立った動意は見られるのでしょうか。
昨日(29日)付の日本経済新聞朝刊が伝えていたように、ここまで動意の薄い状態が続きますと、当然のことながら市場でのドル/円の取引量は大幅に落ち込みます。結果、そのぶん相場が大きく振れる可能性もあるわけで、本日の日本時間21:30に発表される4-6月期の米GDP・速報値や明日の未明に公表されるFOMCの結果次第では、溜まりに溜まったマグマが一気に噴き出す可能性もあるといった点には警戒しておきたいところです。
ここで、チャート上の幾つかのポイントを確認しておきましょう。下図に見るように、ドル/円の日足ロウソクは昨日、一目均衡表の日足「雲」の薄いところを上抜ける格好となりました。また、日足の「遅行線」が日々線を上抜けてきている点もやや強めのシグナルとして注目しておきたいところです。ただし当然、一日だけの値動きで判断することは適切でなく、やはり本日の値動きが一つのカギを握っていると言えるでしょう。
また、昨日の値動きで200日移動平均線(200日線)を上抜けたという点も一つのポイントです。これも一日だけの値動きでは何とも言えず、やはり本日の終値ベースで200日線を明確に上抜ける格好となるのかどうかが大いに注目されます。仮に、この200日線を明確に上抜け、やや強含みの展開となってきた場合には、次に今年1月2日高値と4月4日高値を結ぶ中期レジスタンスライン(上図中、水色点線)との関係にも目を向けることが必要となるでしょう。
このレジスタンスラインは、文字どおり、当面の上値を押さえる格好となる可能性が高いものと思われますが、仮に同水準を明確に上抜けてきたならば、一旦は103円あたりまで目線を上げることが必要になってくるかもしれません。ただ、筆者は「今年1月2日高値からの調整は今しばらく続く」と見立てており、目先の戻りはあっても自ずと限られるものと考えます。いよいよ米利上げ観測が高まるような状況となるならば、一旦は米株価にまとまった調整が入る可能性もあり、まだドル/円の本格的な上昇局面が訪れるのは少し先のことと考えておく必要があるように思われます。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役