街を歩くと、今更ながらその豊かさに驚かされます。路面は極めてきれいに整備されていて、凸凹があるのをまるで恥とでも思っているかの如く、どこも滑らかになっています。それもその筈、毎年のように掘り返しては埋め直して整備の上に整備を重ねているからです。最近家の近くの道路が夜のあいだ数百メートルに亘って片側通行になっています。「低騒音化工事」をしているのです。通行量も少なく今でも静かなその街は、更に静かになることでしょう。街を歩いている人も豊かそうです。銀行や郵便局にはたっぷりの蓄えがあるからです。景気が悪いと言っても、当面は自分は何とかなると思っているようです。よく「日本経済は悪い悪いと言うが、この道路を見ろ、1400兆円の個人金融資産を見ろ、全然心配することはない」という論調がありますが、それは論点が逆立ちしていないでしょうか。これだけ道路にお金を掛け、これだけ個人が消費を控えてお金を貯めてしまえば、一般的な指標で計られる「経済」の部分にお金が回らなくて、「経済」が悪くなって当然です。