金利差縮小を尻目に広がった円安=財政規律への懸念で円売り

米ドル/円と日米金利差(米ドル優位・円劣位)とのかい離は、2025年半ば頃からかつて経験したことがないほど大きく広がった。両者がほぼ連動していた2025年4月頃までの関係からすると、日米金利差は、足下の米ドル/円が130円台まで下落していてもおかしくないほど縮小した。しかし、実際には金利差縮小を尻目に米ドル/円は一時163円まで上昇した(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と日米金利差(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

この日米金利差で説明できない、1ドル163円まで進んだ米ドル高・円安は、金利差ではなく日本の金利、長期金利の上昇に基本的に連動したように見えた(図表2参照)。長期金利上昇の主因は、日本の財政規律への懸念とされ、長期金利上昇と連動した円安は、財政規律への懸念を受けた円売りの結果との見方が有力になった。

【図表2】米ドル/円と日本の長期金利(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

10月から長期金利が低下=高市政権のリフレ姿勢は変わらず

長期金利は、10月初めに10年債利回りが3.1%を付けてピークアウト、先週(10月19日週)は一時2.8%を割り込む水準まで低下した。では、日本の財政規律への懸念を受けた「長期金利上昇=円安」は終わったのだろうか。

日本の財政規律への懸念で、最近まで最大の焦点になっていたのは高市政権の積極財政だろう。これに対して、ベッセント米財務長官などが「リフレ政策はやめるべき」などとけん制し、これを受けて高市政権側もリフレ政策を否定するようになった。

その一方で、依然として財源を明確にしないまま消費税減税を行う方針を変えないなど、リフレ政策を否定する姿勢は言葉だけで、財政政策に対する姿勢は変わっていないというのが大方の見方だろう。その意味では、財政規律への懸念は大きく変わっていないようなのに、なぜ長期金利は大きく低下したのか。

株安で長期金利が低下=財政懸念の円売りへの影響は?

10月初めにかけて、米10年債利回りが5.3%まで上昇するなど、世界的な長期金利の上昇が進んだ。ただ、株価下落への不安が広がる中で、長期金利は反転し、米10年債利回りは先週(10月19日週)一時5%を下回った。株価の下落により、安全資産とされる債券へ資金がシフトした影響が大きいとみられている。

日本の長期金利の低下も、そうした世界的な長期金利の上昇から低下への転換に連動して低下した影響が大きいだろう(図表3参照)。その意味では、さらに日本の長期金利が低下するかは、株安の行方が最大の鍵を握ることになりそうだ。

【図表3】日米の10年債利回りの推移(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

仮に株安が一段と広がった場合、高市政権が積極財政を続けても長期金利はさらに低下することになるのか。また、株安が一巡した場合は、財政規律への懸念を受けた長期金利上昇が再燃するのか。「財政規律への懸念に伴う円安」の行方は、そうした動きの見極めが鍵になりそうだ。