先週(10月12日週)の振り返り=予想より強い米CPIなどでも米ドル反落
約1ヶ月続く157~159円中心の小動き
先週(10月12日週)の米ドル/円は、157円台半ば~158円台後半という狭いレンジ中心の小動きが続きました。米ドル/円は157~159円という2円のレンジを中心とした方向感のない小動きが、すでに約1ヶ月も続いています(図表1参照)。ただ、このように狭いレンジでの動きが続いた米ドル/円でしたが、一時、気になる動きも見られました。
先週(10月12日週)は10月14日に9月CPI(消費者物価指数)、そして10月15日はPPI(生産者物価指数)など注目度の高い米経済指標が発表され、それらの多くは予想より強い結果となりました。このため、特にCPI発表直後は米金利が大きく上昇し、そして米ドル/円もこの間のほぼ上限である159円トライとなりました。
ただ米金利が低下に転じたことなどから、米ドル/円も159円突破を前に反転すると、その後は逆に158円割れへ下落しました。そして上述のように10月15日は、PPIなどこの日発表された米経済指標の多くが予想より強い結果だったものの、米金利上昇や米ドル高の反応は前日以上に限られる結果となったのでした(図表2参照)。
強い米経済指標でも米金利上昇=米ドル高が限られた理由とは?
CPI発表後の米金利上昇、米ドル高が限定的にとどまり、その後反転したのは、強いCPIの結果を受けて10月FOMC(米連邦公開市場委員会)で前月に続く連続利上げの可能性が浮上したことを嫌気し株価が急落し、それを受けて米金利が上昇から低下に転じたためとの解説が当初は多かったようです。では本当にそういう理解で良いのでしょうか。
AIをメインテーマとして展開する最近の株高を象徴しているとされるのが、フィラデルフィア半導体、いわゆるSOX指数です。そのSOX指数は10月に入ってから10%以上の下落となっていました。これは、2000~2002年に起こったITバブル崩壊のナスダック指数暴落のプライスパターンに似ているようにも感じられます。
ITバブル崩壊局面で、ナスダック総合指数は2000年3月から下落が始まり、2ヶ月余りで3割以上の下落となりました。その後は一旦半値戻しを超えるまで反発しましたが、7月から下落が再開すると、いよいよ本格的な株安に向かうところとなったのでした(図表3参照)。
AIバブル崩壊への懸念が米金利上昇や米ドル高を吸収?
以上から、ITバブル崩壊のナスダック指数暴落は、2000年3月からが第1幕、そして「中休み」を経て、第1幕の始まりから約4ヶ月後に当たる7月から「第2幕」に入ったと理解されています。
さて、SOX指数は2026年6月から約1ヶ月余りで3割程度の急落となりました。ただそれはあくまでAIバブル崩壊の第1幕であり、ITバブル崩壊のナスダック指数のプライスパターンを参考にすると、第1幕始まりから4ヶ月後というこの10月から暴落第2幕が始まっているということなのでしょうか。
CPIが発表された10月14日、SOX指数は4%以上の急落となりました。直接のきっかけは、以前から懸念されていたAIブームにおける「循環投資」の代表的存在のようになっていた「ネオクラウド」コアウィーブ[CRWV]の社債急落などと説明されることが多いようです。
問題はそういったきっかけを受けて、AIバブル崩壊が始まっていることへの懸念が再認識されたことが、CPI発表後の米金利上昇や、それを受けた米ドル高を抑えたということだったのではないでしょうか。
今週の注目点=10月19日「ブラックマンデー」記念日、株安の行方は?
世界的長期金利上昇一服でユーロ安・円安がともに反転
こうした中で、このところ続いてきた世界的な長期金利上昇も一服、先週(10月12日週)は欧米でも長期金利は比較的大きく低下しました(図表4参照)。9月以降大きく広がったユーロ安・米ドル高は、世界的長期金利上昇の中で、金利水準では「独<米国」であることから、金利差(米ドル優位・ユーロ劣位)が拡大したことに沿ったものでしたが、独米ともに長期金利が低下したことにより、そうした金利差拡大とそれに伴うユーロ安・米ドル高も一息つくところとなりました(図表5参照)。
9月に一時152円台まで下落した米ドル/円が、その後159円まで戻したのは、日本の財政規律への懸念などを受けた長期金利上昇が円売り材料視される状況が続いた可能性がありました(図表6参照)。その日本の長期金利も、先週(10月12日週)は比較的大きく低下しました。日本の長期金利である10年債利回りが、3%を超えた水準から低下に転じるかは、円安から円高への転換を考える上での鍵になるのではないでしょうか。
株安の行方に注目=今週(10月19日週)の米ドル/円は155~159円で予想
米ドル/円の当面の方向性は、約1ヶ月続いた157~159円のレンジをどちらに抜けるかが大きな目安になります。そしてその手掛かりは、これまでの世界的な長期金利上昇から世界的な株高からの転換に移り始めた可能性があります。
10月19日は、1987年にNY発世界同時株暴落「ブラックマンデー」が起こった日です。今週は株安をにらみながら、それが仮に広がるようなら、米ドル/円もこの間のレンジを下抜ける可能性に注目したいと思います。以上から、今週の米ドル/円は155~159円で予想します。
