米国は長期金利上昇阻止で日本の財政規律維持要請の可能性
米財務省は先週(8月17日週)、買い入れオペ(バイバック)の大幅拡大を決めた。これは米長期金利上昇阻止が目的とみられている。ただ、この間の米長期金利上昇には、日本の円安や長期金利上昇の影響も大きかったと、ベッセント米財務長官は考えてきたようだ(図表1参照)。そうした意味では、米長期金利上昇阻止のために、日本に対しても長期金利上昇阻止を要請している可能性はあるのではないか。
日本の長期金利上昇の主因は、財政規律への懸念とされる状況が過去1年以上も続いてきたことを踏まえると、米長期金利上昇への波及を懸念した日本の長期金利上昇阻止へ米国が期待するのは財政規律の維持ということになるだろう。
消費税減税は撤回ではなく財源の明確化で財政規律維持目指す
日本の財政規律をめぐる当面の焦点は、高市政権が財源を曖昧なまま消費税減税を進めることだろう。これに対して、日米の関係先では、最近になって少し軌道修正が進められている可能性がある。具体的には、消費税減税の撤回を目指すことは止めて、その財源の明確化により財政規律を維持する方針に変わり始めたということだ。
この背景には、高市政権への歴史的に高い支持率が最近にかけて低下し始めたことがあるのではないか。つまり高市総理がこの間の選挙公約としてきた消費税減税の撤回は、さらなる支持率低下を招きかねず、政権は不安定化する懸念が出てきた。そうした中では、高市政権が消費税減税を撤回する可能性は、ほぼなくなったと考えられる。
このため日米の財政当局も消費税減税は容認するものの、財源を明確にして財政規律を維持する方針へと軌道修正した可能性がある。これについて、ある財務官経験者は「ナローパスだができなくはないだろう」と説明した。
円安阻止でも鍵に=財政規律維持と長期金利上昇阻止
日米の長期金利上昇阻止を目指す動きは、為替相場にも影響しそうだ。日米協調円買い介入を受けて一時155円まで下落した米ドル/円が、その後160円近くまで米ドル高・円安に戻ってきたのは、基本的に日本の10年債利回りが一時2.9%以上に上昇するという長期金利上昇と連動したように見えた(図表2参照)。
日本の長期金利上昇が続いた背景には、財源が曖昧なまま消費税減税を進めることを受けた財政規律への懸念があったとの見方が強い。その意味では、財政規律の維持と、それによる長期金利上昇阻止は、円安の阻止・是正においても重要な鍵を握る可能性がありそうだ。
