第1四半期決算が一巡。AI投資と円安で想定以上の好業績に
2027年3月期の第1四半期(4~6月)決算発表が一巡した。予想以上に業績好調なセクター、企業が多かったとみられる。年度後半に向けて、第1四半期の好業績株をチェックしたい。
日本経済新聞社によれば、4~6月期の連結純利益は前年同期比68%増となった。売上高も同14%の増収になったとしている。人工知能(AI)投資の急増や構造改革の進展などが要因で、円安も寄与したという。半導体関連や自動車、電子部品、産業機器、素材など幅広い業種で業績が拡大したと報じている。
地政学リスクの懸念後退と、低下したPERが示す「買い余地」
2027年3月期通期業績も拡大が継続する見通しだ。本決算が発表された4月末~5月上旬は米国とイランの戦争により、石油輸送の要諦であるホルムズ海峡が閉鎖され、原油価格が急騰。日本への輸送が滞ることで、サプライチェーンへの影響が懸念されていた時期だった。化学などのセクターを軸に業績予想を慎重に見ていた企業が少なくないとみられていた。
国内大手証券によると、東証プライム市場に上場する企業の2027年3月期通期の純利益合計は前期比11.7%増になる見通し。AIブームで関連製品の需要増などが寄与。円安で自動車などの輸送用機器も堅調という。別の大手調査機関では、TOPIXベースで半導体やデータセンターが多く含まれる電気機器の営業利益は同31%増となると試算している。
日経平均株価の1株当たり利益は決算発表直前の7月23日に3671円だったが、発表が一巡した8月10日には3866円まで上昇している。PER(株価収益率)は日経平均株価が最高値を付けた6月25日に18.02倍だったが、8月10日現在は17.32倍。業績の拡大や株価の調整で買い余地が大きくなっていることを示している。
そこで、決算が好調だった銘柄を、電気機器、サービス、情報通信、小売業の中からピックアップする。
第1四半期で光った、通期業績も期待大の注目5銘柄
イビデン(4062):AIサーバー需要増で通期計画を大幅上方修正
半導体パッケージ基板が主力製品。エヌビディア、インテルが主要顧客。AIサーバー需要の増大に対応し、生産能力を拡大している。商用車用排ガスフィルターも手掛ける。
2027年3月期第1四半期の売上高は1232億1900万円(前年同期比26%増)、営業利益は268億8000万円(同52%増)と快走。生成AI向けや汎用サーバー向けの高機能ICパッケージ基板の受注が堅調に推移。前期に稼働を開始した大野事業場の生産安定も寄与。
通期の営業利益は従来予想の900億円から1270億円(前期比2倍強)に上方修正している。また、9月末割当で1対2の株式分割を実施すると発表した。
アドバンテスト(6857):「推論」向けAI半導体テスタが想定超の伸び
半導体検査装置(テスター)の世界大手。ロジック(演算)用に強いが、メモリ(記憶)向けでも有数。
第1四半期の売上高は3674億7300万円(前年同期比39%増)、営業利益1899億9000万円(同53%増)だった。AI半導体向けに高性能な試験装置の需要が急増している。AIはこれまでのデータを読み込ませて開発する「学習」に加えて一般の利用者が広く使う「推論」向けの需要が拡大している。推論では大量の情報から適切な答えを素早く求められることから、HBM(広帯域メモリ)を始め先端半導体需要が増加していることが背景。
通期の営業利益は前回予想の6275億円から8460億円(前期比70%増)に上方修正している。SoC(システム・オン・チップ)やメモリテスタなどが想定以上。
リクルートホールディングス(6098):Indeedのマネタイズ進化を高評価
人材サービス国内最大手。2012年に求人検索エンジンの米インディードを買収。求人情報検索、販促・人材メディア、人材派遣が収益の3本柱。
2027年3月期第1四半期は売上高1兆453億5000万円(前年同期比19%増)、営業利益2554億1300万円(同66%増)となった。
通期の営業利益は従来計画の7870億円から9450億円(前期比50%増)に上方修正されている。インディードなどを含むHRテクノジー事業が想定以上。アナリストは、インディードのマネタイズ「応募」から「採用決定」へと進化するペースが速まったことを評価している。欲しい人をより早く採用できる「プレミアム」が伸びているという。
カプコン(9697):新規IP「プラグマタ」の大ヒットでQ1進捗率約50%
家庭用ゲームソフトの開発大手。欧米市場に人気のアクションゲームに強い。「モンスターハンター」、「バイオハザード」など人気シリーズ多数。
2027年3月期第1四半期の売上高704億1000万円(前年同期比55%増)、営業利益410億5400万円(同67%増)となった。中核事業であるデジタルコンテンツ事業において、完全新規IP(知的財産)である「プラグマタ」の投入や主力シリーズのリピートなどが要因。プラグマタはSFアクションアドベンチャーゲームで、2026年4月17日に発売し世界で250万本を売り上げた。
通期の営業利益は予想を変更せず830億円(前期比10%増)。第1四半期時点での進捗率は49.4%と極めて高水準。
セイコーグループ(8050):高級時計とAI向け電子デバイスの両輪で躍進
腕時計で国内首位級。ムーブメント(駆動機構)では世界有数。高価格帯を強みに、欧米ではブティックを展開している。電子デバイス事業も手掛ける。
第1四半期の売上高は990億8900万円(前年同期比29%増)、営業利益154億4000万円(同89%増)となった。グローバルブランドであるグランドセイコー、プロスペックス、プレサージュなどが好調に推移。デバイス事業ではAIサーバーやデータセンター、光通信向けに水晶発振用ICが大きく伸びたとしている。
通期の営業利益は前回予想の335億円から410億円(前期比33%増)に上方修正。年間配当も前回予想の90円から105円に上積みしている。
