2026年の「ノーベル賞ウイーク」は10月5日からスタート
10月5日週はノーベル賞が相次いで発表される「ノーベル賞ウイーク」だ。10月5日に生理学・医学賞、10月6日に物理学賞、10月7日に化学賞、10月8日に文学賞、10月9日に平和賞、そして10月12日に経済学賞が発表される予定となっている。
2025年は北川進・京都大学特別教授が、「多孔性金属錯体の開発」で海外の研究者2名と共同で化学賞を受賞した。北川さんは金属イオンと有機化合物を結合させて、ナノメートルサイズの規則的な孔を無数に持つタイプの多孔性材料(多孔性金属錯体)を開発。細い孔の中に気体を大量に取り込むことができることを世界で初めて立証した。これを機に水素や天然ガスの大量吸蔵を行う研究が盛んになったという。
前哨戦、クラリベイト引用栄誉賞とラスカー賞から2026年の受賞者を予想する
クラリベイト引用栄誉賞
2026年の受賞にも期待がかかる。ノーベル賞の前哨戦として注目されるのが、イギリスの学術情報サービス会社クラリベイトが発表する「クラリベイト引用栄誉賞」だ。これはおよそ6700万本の論文の引用回数などを分析して、研究成果を抽出。ノーベル賞と同じ生理学・医学、物理学、化学、経済学の4分野を対象に、専門家が評価して選出する。2002年の創設以降、これまでに選出された受賞者463名のうち89名が、のちにノーベル賞を受賞しているという。
2026年のクラリベイト引用栄誉賞は22人が選出されたが、日本人では安達千波矢・九州大学主幹教授が物理学分野で米研究者と共同受賞している。高効率な次世代の有機発光ダイオード(OLED)の実現につながる研究で、具体的には熱エネルギーの助けを借りて発光させる技術「熱活性化遅延蛍光(TADF)」を開発。レアメタルが不要で、コストを抑えつつ発光効率を高めることができる。TADFはスマホのディスプレー材料で実用化が始まりつつある。
ラスカー賞
一方、ノーベル生理学・医学賞につながる賞として、米国で最も権威がある医学賞とされる「ラスカー賞」が挙げられる。2026年は9月9日に発表され、3部門のうちの一つである「基礎医学賞」に、柳沢正史・筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・機構長がスタンフォード大学の教授とともに選出された。柳沢氏は睡眠の仕組みを解き明かす神経科学の基礎研究を行っている。睡眠の制御に関わる「オレキシン」という物質を発見。突然、強い眠気に襲われる「ナルコレプシー」という睡眠障害にこの物質がかかわっていることを突き止め、治療薬の開発につながった点が評価された。
また、ラスカー賞の一つである「臨床医学賞」には、血友病の治療薬を開発した中外製薬(4519)の3名の研究者が選出された。
2026年のクラリベイト引用栄誉賞、ラスカー賞受賞者に関連する銘柄は?
日本曹達(4041):TADF開発の安達千波矢氏とスタートアップを設立
2024年11月に、日本曹達(4041)と安達氏らが設立した九州大学発スタートアップのKyulux(キューラックス)がTADFに関する量産体制の構築に向けて資本業務提携を締結している。日本曹達はKyuluxに資本参加するとともに、プロセス開発と設備投資を実施。世界初となるTADFの量産と安定した供給体制の実現を目指す。
これとは別に東レ(3402)と出光興産(5019)も共同でTADF材料の開発を行っている。
武田薬品工業(4502):世界初のオレキシン作動薬
武田薬品工業(4502)は2026年8月24日、ナルコレプシータイプ1の治療薬「オーゼイフル錠」(一般名:オベポレクストン、開発コードTAK-861)の日本国内での製造販売承認を取得したと発表した。7月23日には中国で、8月5日に先立って承認されている。同薬はオレキシンシグナルの低下を回復させるよう設計された、初のオレキシン2受容体(OX2R)選択的作動薬である。
これとは別にエーザイ(4523)やネクセラファーマ(4565)などもオレキシン受容体作動薬の開発を行っている。
中外製薬(4519):血友病の抗体を発明
ラスカー賞を受賞した中外製薬(4519)の研究者3名は、血液中のたんぱく質の欠乏が原因で出血が止まりにくい、「血友病A」と呼ばれる疾病について、たんぱく質の働きを肩代わりする抗体を発明。治療薬の開発につなげたことが評価された。
グレリン、ペロブスカイト、カーボンナノチューブ…その他各賞の有力候補者、関連銘柄
生理学・医学賞
2025年のクラリベイト引用栄誉賞では、生理学・医学賞の有力候補として、寒川賢治・国立循環器病研究センター元研究所長、児島将康・久留米大学名誉教授が選ばれている。2人は共同研究を行い、1999年に胃から分泌される食欲などを調節するホルモンの「グレリン」を発見したことが評価された。体がエネルギー不足を感じたときに、胃からグレリンが分泌されて脳に運ばれて、食欲が刺激される。拒食症などの治療薬として実用化されている。
小野薬品工業(4528)は2021年に、グレリン作用薬として、がん患者の体重減少(特に筋肉量の減少)や食欲不振の治療薬「エルドミズ」を発売している。この分野で初の治療薬で、患者のQOL(生活の質)改善に寄与している。
化学賞
化学賞では桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が候補に挙げられる。「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶構造を用いた太陽電池を考案したことで知られる。発電層に厚みがあるシリコン系に比べて、極めて薄いため、軽量で曲げることもできる。関連では実用化に最も近いとされる積水化学工業(4204)のほか、原料のヨウ素では伊勢化学工業(4107)、K&Oエナジーグループ(1663)が挙げられる。
物理学賞
物理学賞の候補としては、名城大学の飯島澄男終身教授がカーボンナノチューブの発見で挙げられている。炭素から構成され、重さはアルミニウムの半分。しなやかながら強度は鋼鉄の数十倍といわれる。テニスラケット、ゴルフクラブ、自転車のフレームなどで実用化されている。
日本ゼオン(4205)、GSIクレオス(8101)などが関連銘柄となる。飯島氏は日本電気(NEC)(6701)の特別主席研究員である。
文学賞
文学賞では村上春樹氏が国内外のメディアや予想市場で毎年のように名前が挙げられている。書店の丸善CHIホールディングス(3159)、文教堂グループホールディングス(9978)の株価が、発表前に動意付く傾向がある。
