大幅な金利差円劣位の長期化を受けた円売り「バブル」=2007年と2024年
CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、足下で売り越しが15万枚程度まで拡大した。円売り越しが15万枚以上に拡大したのは、これまで2回、2007年と2024年しかなかった。ただ、その過去2回と今回では日米金利差との関係が大きく異なる(図表1参照)。
2007年と2024年は、日米の政策金利差(米ドル優位・円劣位)が5%以上もの大幅な状況が長期化していた。大幅な金利差円劣位が長期化する中で、圧倒的に有利な円売りが拡大し、極端な行き過ぎ「バブル」化したと考えられた。
これに対して、足下の日米政策金利差は3%を割れるまで縮小した。大幅な金利差円劣位を受けて円売りが「バブル」化した2007年や2024年に比べると、円売り拡大の背景は違うだろう。
今回の円売りは財政規律への懸念などによる円の信用リスク不安
大幅な金利差円劣位の長期化を受けて、圧倒的に有利な円売りが「バブル」化したのは理解できる。これに対して、足下では金利差の観点からは必ずしも圧倒的に有利というほどでもなくなっているにもかかわらず、「行き過ぎ」懸念が強まるほどに円売りが拡大しているのはなぜか。
米ドル高・円安は、2025年後半から日本の長期金利上昇との連動性が強くなった(図表2参照)。日本の長期金利、10年債利回りは、2025年10月の高市政権誕生前は1.6%程度で推移していたが、その後は一時2.8%近くまで大きく上昇した。これは、高市政権が「責任ある積極財政」を主張しているものの、金利市場が財政規律を懸念した結果との見方が強い。その長期金利上昇と円安が連動するようになったのは、円売りの主因が財政規律への懸念などを受けた円の信用リスク不安になっている可能性を示しているだろう。
円売りを止めるために何が必要か=財政規律への懸念や円先安観の払しょく
2007年や2024年と異なる、円の信用リスクを懸念した投機筋の円売り拡大を止めるために必要なのは、財政規律への懸念を払しょくすることだろう。そのためには、7月に予定されている「骨太の方針」の発表や高市総理の公約である消費税減税の動向が焦点になる。
もう1つ、短期的な焦点としては円の先安観払しょくも鍵になるのではないか。2007年や2024年ほど大幅な金利差円劣位に裏打ちされた円売りではない以上、通貨当局の為替市場への介入などにより円高への反転が大きく実現した場合は、投機筋は大きく積み上げた円売りポジションの処分を余儀なくされる可能性がありそうだ。
