先日、Binance創業者CZ(Changpeng Zhao)の回顧録『Freedom of Money』を読みました。読み終えて頭に残ったのは、「ホットスポット」という言葉でした。
Binanceがわずか数年で世界最大級の暗号資産取引所へと駆け上がった背景には、いくつかの条件が重なっていたといいます。
一つ目は、CZがそれ以前から取引システムの開発に携わり、すでに腕利きのエンジニアチームを抱えていたこと。二つ目は、中国政府による暗号資産取引所への規制強化という、大きな政策転換が起きたこと。三つ目は、当時有力だったPoloniexなどの既存取引所が、規制対応や事業方針の転換のなかで、相対的に勢いを失いつつあったこと。
準備された人材と、政策の地殻変動と、既存プレイヤーの失速。三本の線が交わったその一点に、たまたまCZは立っていました。これがホットスポットなのだと、私は思いました。
歴史を振り返ると、急成長する事業は、たいてい「最も努力した人」ではなく、「ホットスポットに居合わせた人」の手に渡っています。けれど、そこに居合わせるためには、その地点までたどり着いておくだけの、長く地味な準備が必要でした。CZにとっての取引システム開発事業が、まさにそうであったように。
本を閉じて、私は自分がいま、どんな地点に立っているのだろうと考えました。ホットスポットは、立ってみるまで光って見えません。だからこそ、いつ訪れるかわからない交差に備えて、目立たない仕事を続けるしかないのだと思います。
投資家として銘柄を眺めるときも、同じ目で見たいものです。
「この会社は、まだ誰にも気づかれていないホットスポットの上に、静かに立っていないだろうか」と。
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最後にひとことだけ。今回が、私が担当するつぶやき最後の執筆となります。これまでお読みいただき、誠にありがとうございました。皆様がこれから出会うホットスポットが、よき場所でありますように。
