先週末は秋田県鹿角郡小坂町にある小坂製錬を見学させていただく機会に恵まれました。DOWAホールディングス傘下のDOWAメタルマインのグループ会社で、現在は電子基板など、廃棄された電子部品を世界中から集めてリサイクルし、金、銀、銅などの金属製品化する複合リサイクル製錬所ですが、昔は小坂鉱山から「黒鉱」と呼ばれる鉱石を採掘し、これを製錬して金・銀・銅・鉛・亜鉛など15種類の有用金属元素を取り出して製品化する技術を誇る製錬所でした。
ところが、1985年のプラザ合意以降の急激な円高によってドルベースで価格が決定する金属製品の円建て価格が下落し、売り上げ、収入が目減りしていったことが鉱山・鉱石採算に大きな打撃となり、1994年までに秋田県内すべての鉱山が閉山に追い込まれたといいます。昨今、金属の価格が上昇していることと円高から一転、円安に転じていることで採算が合うようになれば、鉱山採掘の復活もあるでしょうか。足元では円安は国力低下を招く、と批判する向きも多いですが、1985年以降の長い円高の時代に失われたものも多くあったことを忘れてはならないと思います。
文化遺産である小坂鉱山事務所も見学させていただいたのですが、ここにはドイツ人鉱山技師クルト・ネットーが描いた水彩画『小坂で過ごしたクリスマス』が飾られており、小坂町は「近代クリスマス発祥の地」とも呼ばれていることを知りました。フランシスコ・ザビエルの関係者によるクリスマスミサが行われたとされる山口県山口市が日本におけるクリスマス発祥の地とされていますが、小坂は「近代」クリスマス発祥の地です。もみの木を囲み団らんする姿が描かれた水彩画は今も変わらぬクリスマスの姿でした。
