週末、小室哲哉さんの『罪と音楽』を読みました。2008年の詐欺事件で逮捕された後、自らの半生を振り返った一冊です。

印象に残ったのは、TM NETWORKの盟友・木根尚登さんについて書かれていた一節でした。子供の頃からの友人で、同じバンドで頂点を極め、小室さんが苦境に陥った時期にも傍にいた人物です。

小室さんは木根さんを特別な存在として描いています。否定せずに話を聞いてくれる。同じだけの音楽的教養があり、専門的な議論もできる。そして何より、弱音を吐ける相手だと。

読み進めながら、「共感者」というのは本当に稀有な存在だと感じました。

話を聞いてくれる人は、世の中に意外といます。けれど、否定せずに最後まで聞ける人はそう多くありません。さらに、同じ深さで議論ができるほどの知識と経験を備えた人となると、数はぐっと減ります。そこに「弱さを見せられる安心感」まで加わった関係は、一生のうちに何人出会えるかというほど希少ではないでしょうか。

思い返せば、私にも苦しい時期を支えてくれた人たちがいます。暗号資産が社会的に認知されていなかった頃、冷笑ではなく真剣な議論を交わしてくれた人。事業がうまくいかない夜に、言い訳を遮らずに最後まで話を聞いてくれた人。

調子がいい時は、周囲に多くの人が集まります。けれど、本当にその人の価値がわかるのは、うまくいかなくなった時なのかもしれません。小室さんにとっての木根さんは、おそらくそういう存在なのだと思いました。

共感者は、探して見つかるものではない気がします。長い時間をかけて、気づけば隣にいる。そして気づいた時には、絶対に手放してはいけない存在なのだと思います。

本を閉じて、自分の人生にいてくれる「共感者」たちの顔を、しばらく思い浮かべていました。皆さんにも、思い浮かぶ人はいるでしょうか。