PLP導入のメリットとデメリット
半導体の後工程では、高性能な半導体パッケージを「安く・早く・大量に」製造できる手法として、「パネル・レベル・パッケージ(PLP)」が注目を集めている。台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]やサムスン電子などの半導体受託製造企業が、ハイエンド向け市場での採用を目指している。日本でもラピダスが意欲的に取り組んでおり、関連ビジネスが拡大する可能性もある。
現在の主流は、直径300ミリメートルのシリコンウエハ上に複数のチップを配置し、一括加工することでコストを抑える方法だ。これを「ウエハ・レベル・パッケージ(WLP)」という。ただ、円形の状態から四角いチップを切り出すと、どうしても不要な部分が残る。
PLPでは四角い長方形パネルの状態から四角いチップを形成するので無駄がない。また、パネルに多数の半導体チップを載せて、配線や封止などの工程を一括して行うことで生産性が高まるメリットがある。
ただ、WLPからPLPに移行するには壁がある。それは、PLPでは生産設備を一新する必要があることだ。前工程ではWLPが主流のため、チップボンダ(実装装置)や搬送装置など、標準化された前工程のプロセスを後工程でもそのまま活用できる。一方、PLPでは四角いパネル形状に対応した装置を新規に導入する必要があり、多額の投資が必要となる。
課題解決のカギは「チップレット」
こうした課題をクリアできそうな技術として注目されているのが「チップレット」だ。チップレットとは、大規模な一つのチップに含まれていた機能ブロックを小さなチップ(ダイ)に個片化したものである。複数のチップレットを単一のパッケージに集積(チップレット集積)して作動させる。
従来の半導体製造は大規模な回路を1枚のウエハにすべて集積する方式が一般的だったが、不良個所が少しでもあればチップ全体を廃棄することになり、歩留まりが悪化する。チップレット集積であれば、あらかじめ良品のチップだけを使うことで歩留まりが大きく改善する。
PLP関連銘柄をピックアップ
平田機工(6258)
生産設備のエンジニアリング企業。自動車生産設備と半導体関連の生産設備が2本柱。開発から生産・保守までの一貫体制に強みがある。PLP工程で使用されるパネル搬送用の基板自動搬送装置(EFEM)や、ロードポート(ウエハを装置内に出し入れする機構)、ウエハ搬送ロボットなどを手掛けている。同社にとって追い風となるのは、WLPからPLPへ移行する際に、生産設備を一新する必要がある点だ。PLPではパネル形状に対応した装置を新たに導入する必要がある。最先端分野だけに技術力も求められる。
レゾナック・ホールディングス(4004)
半導体後工程材料で世界トップメーカー。2025年9月に日本や米国、シンガポールなどの半導体材料・装置・設計企業27社(レゾナックを含む)による共創型プラットフォーム「JOINT3」を設立した。世界トップクラスの企業が集結し、515×510ミリメートルサイズのパネルレベル有機インターポーザ(中間基板)の試作ライン構築を目指す。2026年に稼働を開始する予定。JOINT3の参画企業には東京エレクトロン(8035)、東京応化工業(4186)、ラム・リサーチ[LRCX]などがある。
TOWA(6315)
封止(モールディング)や切断(シンギュレーション)加工など半導体製造後工程用製造装置の大手メーカー。超精密金型製造に強み。320ミリ×320ミリメートルまでのPLPに対応したコンプレッション(圧縮成形)型モールディング装置「CMPシリーズ」などを手掛けている。
アオイ電子(6832)
2024年7月に同社とシャープが、シャープ三重工場の施設を活用したアオイ電子による半導体後工程の生産ライン構築を推進することで合意したと発表している。先端パネルパッケージについて、2026年中の本格稼働を目指すとしている。チップレット集積パッケージなどをタイムリーに提供する。
SCREENホールディングス(7735)
半導体先端パッケージ専用の塗布・乾燥装置「Lemotia(レモーティア)」を開発。PLP基板やガラスコア・サブストレート(樹脂の基板の代わりガラスを使用したもの)に対応。PLPでは、RDLの多層化に伴う基板の「反り」への対応が、歩留まり改善の課題だ。しかし同社はこれをクリアし、均一性の高い成膜を可能にしている。
