新年度が始まりました。マネックス証券にも、昨日10名の新卒社員が入社しました。入社式で彼らの前に立ったとき、まず目に飛び込んできたのは、まっすぐな笑顔でした。その眼差しからは、未来への強い「希望」が感じられました。一人ひとりがこの場所で成長し、活躍してくれることを願っています。

一人ひとりには異なるバックグラウンドがあります。当社は「多様性のある組織」と言われますし、自らもそう認識していますが、多様性そのものに価値があるわけではありません。重要なのは、そこから何を生み出せるかです。

多様な人材が「並んでいるだけ」では、組織は変わりません。意見がぶつかり、違和感が生まれ、予定調和が壊れる。そんな状態こそが、新しい価値の起点になります。私はこれを「理知的なカオス」と呼びたいと思っています。

「多様性を尊重する」という言葉は、ともすると、互いに踏み込まずに距離を保つことと同義になりがちです。しかし、それではイノベーションは生まれません。違いは、受け入れるだけでなく、ぶつけることが必要です。

私自身、公私ともども、カオスを楽しむことを意識しています。雑多で混沌とした状況も「まあ、そんなものだよね」と受け入れる。小さなコンフリクトにも、蓋をして見過ごすことはしません。出張や登山、マラソンで国内外を飛び回り、昨年度は約3分の1を自宅以外のベッドで眠りにつきました。少々カオスですが、それゆえに見える世界があります。

整った環境や、衝突のない関係は一見心地よく見えます。しかし、そこから大きな変化は生まれません。もし今、違和感や小さな衝突を避けているとしたら、それは、本来生まれるはずだった価値の芽を、自ら摘み取っているのかもしれません。

新年度。「カオスに踏み込む側」に回ってみると、きっと、これまでとは違う景色が見えてくるはずです。