先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業版指数、香港ハンセン指数は揃って続伸となりました。ただ、中国本土の株式市場においては、中小型株は大きな上昇となりましたが、大型株は緩やかな上昇に留まっています。これは大型株の上昇が一巡し、中小型株に資金が流れていることに加え、中国政府が中小企業や零細企業向けの資金調達方法の多様化に注力していることが背景にあると思われます。8月18日(月)に発表された7月の中国70都市の新築住宅価格は前月比で0.89%の下落となり(6月実績0.47%の下落)、3ヶ月連続の下落となりました。しかし、李克強首相が高速道路技術の海外輸出を支援する方針を打ち出したり、中国政府が医療設備産業を支援する方針を打ち出すなど、中国政府が景気支援の姿勢を打ち出していることが好感され、上海総合指数は8月18日(月)に8ヶ月半ぶりの高値を付けました。

その後、8月21日(木)に8月のHSBCの中国製造業景況指数(PMI)速報値が50.3と発表され、7月実績の51.7%と市場平均予想51.5%を共に下回ったことなどから中国経済に対する失速懸念が台頭し、利食い売りが入りました。PMIが低調に終わった背景には、中国の一番の貿易相手である欧州経済のスローダウンや、ここ数ヶ月にわたり、為替レートが人民元高で推移していることが背景にあると思われます。ただ、8月22日(金)には早くも、ここのところ低迷している中国の経済指標により、更なる景気支援策が発表されるのではないかとの期待が膨らみ、株価は反発となっています。なお、個別では中国政府がメディア改革方針を打ち出していることから、メディア株が上昇しています。

一方、香港ハンセン指数も上海総合指数と同じような展開となりました。8月19日(火)にはハンセン指数は2万5000ポイントを突破し、6年3ヶ月ぶりの高値を付けました。米国株が堅調に推移していることと、中国の景気支援策への期待が株価上昇の牽引役となっています。今週は8月28日(木)に7月の中国の工業セクターでの企業利益(6月実績17.9%、1-6月累計実績11.4%増)が発表される予定であり、注目されるところです。

コラム執筆:戸松信博