52週MAが示唆する円高へのトレンド転換
米ドル/円は先週末、4週連続で52週MA(2月28日現在152.4円)を下回った(図表1参照)。このように、52週MAを長く、大きく下回る動きは、経験的には一時的な下落ではなく継続的な下落、つまり複数年続く流れである「トレンド」が米ドル安・円高へ転換している可能性を示すものだ。そのような判断基準からすると、円高トレンドへの転換の可能性は、米ドル/円以上にクロス円がより高くなっていると言える。

ユーロ/円は円高トレンドへ転換した可能性が高い
米ドル以外の通貨に対する円の取引をクロス円と呼ぶが、その代表格であるユーロ/円は2024年11月から1週間を除いて3ヶ月以上、最大で5%近く長く、大きく52週MA(2月28日現在163.6円)を下回った(図表2参照)。上述の判断基準からすると、米ドル/円以上にユーロ安・円高トレンドへ転換した可能性が高くなっていると言えるだろう。

豪ドル/円、メキシコペソ/円も52週MAを大きく下回っている
もう1つ、代表的なクロス円である豪ドル/円についても見てみよう。これは、先週にかけて52週MA(2月28日現在99.6円)を3ヶ月連続で最大6%以上と、すでに見てきたユーロ/円以上に長く、大きく下回った(図表3参照)。

最後に2024年にかけて記録的な上昇相場となった高金利通貨の代表格のメキシコペソ/円について見てみよう。メキシコペソ/円は先週末の段階で8.1円の52週MAを10%近く大幅に下回っていた(図表4参照)。

2年以上、円高が続く可能性が高い
上記のように、52週MAの基準から判断すると、クロス円の多くは米ドル/円以上に複数年続く流れという意味の「トレンド」が円高へ転換した可能性が高そうだ。そうであれば、クロス円が軒並み円高へトレンド転換する中で、米ドル/円は円安トレンドが続くということが果たしてあるのか、やはり米ドル/円も円高へトレンド転換した可能性が高いのではないかという点が注目されることになるだろう。
円高トレンドへ転換したなら、それと逆行する一時的な円安は52週MAを長く、大きく上回らない程度にとどまり、基本的には2年以上の円高が続く可能性が高いというのが経験則の示すところだ。