トレンドか一時的な動きかの見極め方
米ドル/円は先週末、約1ヶ月半ぶりに52週MA(移動平均線)を下回ってきた(図表1参照)。一度大きく52週MAを割り込んだ相場が、1ヶ月程度という短期間で52週MA以下に戻ってくる場合、上昇は一時的に過ぎず、継続的な流れ、つまりトレンドは下落(米ドル安・円高)の可能性が高いことを示している。
米ドル/円の場合は再び52週MA以下に戻るまで1ヶ月半を要したが、クロス円の中にはもっと早く52週MA以下に戻ったケースや、そもそも52週MAを超えられなかったケースもあった。その意味では、米ドル/円以上にクロス円で円高トレンドの可能性が高い印象もある。
主要なクロス円と52週MA
例えば、ユーロ/円は一度52週MAを超えたものの、早々に52週MA以下に戻ると、先週にかけて3週連続で52週MAを下回った(図表2参照)。NZドル/円に至っては、この間の反発局面でも52週MAを大きく越えられない状況がここまで続いてきた(図表3参照)。
豪ドル/円は、米ドル/円と同じように1ヶ月以上と比較的長く52週MAを上回る状況が続いたものの、先週末はその52週MAを2%以上と比較的大きく下回る動きとなった(図表4参照)。
米ドル/円、クロス円とも下落(円高)トレンドが展開
52週MAは、相場が複数年同じ方向に動く「トレンド」か、それと逆行する一時的な動きかを判断する上で参考になる。米ドル/円も主要なクロス円の多くも、9月にかけて52週MAを大きく、長く下回るところとなったが、これは下落トレンドが展開している可能性が高いことを示すものだった。
その上で、11月にかけての反発局面で52週MAを超えるケースもあったが、米ドル/円も含め先週にかけて再び52週MAを下回ってきた。これにより上昇はあくまで一時的な動きの可能性が出てきたというのが現状の情勢判断であり、それは、米ドル/円よりクロス円主導の展開となっているようだ。
仮に、米ドル/円、クロス円とも下落(円高)トレンドが展開しているなら、トレンドと逆行する一時的な上昇は52週MAを大きく、長く越えない程度にとどまり、複数年かけて下落方向へ向かう可能性が高いだろう。