モトリーフール米国本社 – 2024年10月20日 投稿記事より
音声アシスタントを提供するサウンドハンドAI[SOUN]
市場には多くのグロース株がありますが、その多くは「AI人気」という大きな波に乗ろうとしています。その中からより魅力的な1銘柄を選ぶにはどうしたら良いのでしょうか。
企業の長期的な見通しや最近の成長に注目し、そして何よりも、その企業を取り巻くリスクについて明確に認識する必要があります。
そうした中、音声アシスタント企業である、サウンドハンドAI[SOUN]は、500ドルの投資資金を持っているとしたら購入する価値があると思われる銘柄の1つでしょう。では詳しく見てみましょう。
サウンドハンドAI[SOUN]の事業内容
サウンドハンドAIは、AIが大ブームになるずっと前から音声認識ソフトウェアを開発しており、この分野で20年を超える経験があります。簡単に説明すると、同社のソフトウェアは、レストラン、車載インフォテインメント、スマートデバイス、ホスピタリティ、コールセンターといった業界の企業が対話型AIを使用して顧客サービスを向上させることを支援しています。
具体的な例としては、レストランはサウンドハンドAIのツールを使って予約を受けたり、電話やドライブスルーで顧客から注文を受けたりしています。また、同社の技術により、自動車の所有者はハンズフリーで、簡単に車載インフォテインメント・システムと対話することができます。同社の音声認識ツールはすでに大手企業から注目されており、半導体メーカーのクアルコム[QCOM]、メキシコ料理チェーンを展開するチポトレ・メキシカン・グリル[CMG]、多くの自動車ブランドを傘下に持つステランティス[STLA]などが同社のシステムを採用しています。
サウンドハンドAIの技術がAIブームの域にとどまらないことを示すさらなる証拠として、エヌビディア[NVDA]は2024年初めに同社に投資した他、自社の運転支援システム「Nvidia Drive」にサウンドハンドAIの音声アシスタントソフトを採用しています。
コア市場に加え、サウンドハンドAIは先日、アメリアという企業を8,000万ドルで買収し、他業界への進出に向けて大きく前進しました。この買収により、サウンドハンドAIは、保険、金融サービス、ヘルスケア、小売業界向けの対話型AIサービス市場での大きな地盤を獲得しました。
サウンドハンドAIの成長可能性とリスク
投資家はサウンドハンドAIの見通しに対して一段と強気になっており、株価はこの1年間で196%急騰しています。
楽観的な見通しには、先日発表された2024年第2四半期決算で売上高が前年同期比54%増の1,350万ドルとなったことも影響しているようです。このような増収にアメリアの買収もあり、サウンドハンドAIの経営陣は2024年通期売上高が前年比74%増の8,000万ドルに達すると予想しています。
経営陣はさらに、2025年の売上高が1億5,000万ドル(2023年実績の3倍超)に成長すると予想しています。サウンドハンドAIの成長の可能性は、今後数年間の企業支出の増加から生まれると経営陣は考えており、コンサルティング会社のマッキンゼーは、生成AI関連の企業支出が2027年には1,750億~2,500億ドルになると予測しています。
他のグロース株と同様に、サウンドハンドAI株にもリスクはあります。まず、ハイテクセクターは競争が激しく、対話型AIを手掛ける多くの他の企業が脅威となる可能性があります。しかし、最大のリスクは恐らく、同社がまだ利益を生み出していないことでしょう。第2四半期の純損失はGAAPベースで3,730万ドルとなり、前年同期の2,730万ドルの損失を上回りました。
投資家にとっては、近い将来に赤字が縮小するかどうかが重要であり、同社がその方向に向かっているか注視する必要があります。この点に関する好材料として、一部のアナリストはサウンドハンドAIの1株当たり純損失が2024年の0.34ドルから2025年には0.20ドルに改善するとみています。
サウンドハンドAIに注目する理由
サウンドハンドAIの株式を推奨する理由は、同社の技術が大手企業の間ですでに必須機能として実証済みであり、それをベースに開発が続けられていることです。さらに、アメリアの買収で早くも売上高が増加しており、買収による新たな業界への拡大は長期的にプラスに寄与する可能性があります。
ステランティス、エヌビディア、クアルコムといった大手企業がすでに同社の技術を採用しており、今後ますます多くの企業がかつてないほどAI技術に投資していくことを考えると、音声アシスタントが必須だけれども、自社開発する時間やスキルがないという市場を開拓する上で、サウンドハンドAIは優位な位置にいると考えられます。
現在、サウンドハンドAIの株価売上高倍率(PSR)は26倍であり、必ずしも割安ではありません。今後もある程度のボラティリティは予想されますが、AIによる音声アシスタントが食べ物の注文や車載インフォテインメント・システムといったあらゆる分野に広がっていく可能性もあるでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Chris Neigerは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、チポトレ・メキシカン・グリル、エヌビディア、クアルコムの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、ステランティスの株式、および以下のオプションを推奨しています。チポトレ・メキシカン・グリルの2024年12月満期の54ドルプットのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。