東京消防庁の調査によると、2023年に東京消防庁管内で熱中症により救急搬送された人の数は7,112人で、月別では7月が最も多く、年代別では80代、次いで70代の順でした。年齢別の割合は65歳以上の高齢者が約半数を占め、そのうち約7割が75歳以上の後期高齢者でした。

岩手県でひとり暮らしをしている80歳の認知症の母も熱中症になるリスクが高いので、夏は特に見守りを強化しています。そこで今回は、母と離れて東京暮らしの私が行っている「IoT(Internet of Things)」を活用した熱中症対策をご紹介します。

認知症の母が他の高齢者より熱中症のリスクが高い理由

高齢になると体温調節機能が低下したり、汗をかきにくくなったり、暑さや喉の渇きを感じにくくなったりして、熱中症のリスクが高まります。また、エアコンを使った冷房が苦手な高齢者も多く、適切にエアコンを使わないために熱中症になるケースもあります。

母も暑さを感じにくくなっており、認知症のため季節感が薄れています。暑い日に「今日は雪降ってないの?」と、私に質問するほどです。また部屋にある温度計に表示された室温や湿度の意味が分からないため、他の高齢者よりも熱中症のリスクが高いのです。

実家にエアコンはあるのですが、母はリモコン操作ができません。冷房と暖房の違いが分からないので、リモコンのボタンを適当に押してしまい、真夏に暖房がついていたこともありました。

こうしたことから、認知症の母を熱中症から守るために、家電をIoT化できるスマートリモコンを購入しました。

岩手の実家にある家電を東京から遠隔操作

エアコンや照明、テレビなどの家電で使う赤外線リモコンをスマートリモコンに学習させると、スマートフォンのアプリ上で家電が操作できるようになります。

スマートリモコンを利用するためにはインターネット環境が必要で、ネットを経由してスマホのアプリから家電を遠隔操作できます。スマートリモコンが設置された部屋の温度や湿度、照度などをリアルタイムで把握することも可能です。

実家の家電の一部は、このスマートリモコンで遠隔操作できるようになっていて、居間のテレビやエアコン、寝室のエアコンや照明などを東京から操作しています。

母の認知症が軽度の頃は、自分でエアコンの操作をしていたのですが、症状が進行するにつれリモコンを紛失したり、誤操作が増えたりしたので、今はリモコンを置かずに、私がスマートリモコンで遠隔操作を行うようになりました。

スマートリモコンによる高齢者のための熱中症対策

実際に、スマートリモコンを使って私が行っている熱中症対策をご紹介します。

まず、エアコンの冷房が苦手な母のために、家にいない時間帯を狙ってエアコンの冷房をつけるようにしています。例えば母がデイサービスから帰宅する1時間前から冷房をつけ、帰宅直前にエアコンの電源が切れるよう設定しておけば、エアコンの風に当たらなくて済みます。

夜間は室温が28℃以上になったら、エアコンの冷房が自動でONになる設定にしています。いくらエアコンの風が苦手でも、熱帯夜にエアコンをつけなければ熱中症になってしまいますし、夜は私も寝ていて、リアルタイムで室温を把握できないため、このような設定になりました。

基本はスマートリモコンのアプリ上で、エアコンの冷房温度や風量、風向きを曜日、時間ごとに設定しておけば、あとは何もする必要はありません。

しかし念のため、居間や寝室の室温や湿度をリアルタイムで確認することもあります。なぜかと言えば、母が部屋の扉を開けて、エアコンの冷気を逃がすことがあるからです。

スマートリモコンで設定した室温や湿度になっていない場合は、実家に見守りカメラが設置してあるので、部屋の扉や窓が開いていないかを確認します。もし開いているようなら、電話で母に閉めるようお願いすることもあります。

スマートリモコンによるエアコンの自動設定と、マニュアルで遠隔操作をしながら、認知症の母を熱中症から守っています。

親の健康状態だけでなく、室温や湿度の見守りも必要

スマートリモコンは、10年以上前の古いエアコンに対応している機種もあります。実家にあった10年以上前に製造されたエアコンも、スマートリモコンで遠隔操作することができました。

最新のエアコンであれば、スマートリモコンがなくても遠隔操作できる機種も出ています。その場合もインターネット環境は必要で、エアコンにLANアダプターが内蔵されているか、別途購入が必要になります。スマートリモコン同様、エアコン専用アプリで遠隔操作や室温や湿度のリアルタイム表示が可能です。

親の見守りというと、健康状態のチェックを思い浮かべると思います。しかし温暖化が進むこれからは、実家の室温や湿度も見守らないと、親が熱中症になるだけでなく、命を落とす可能性もあります。

スマートリモコンという便利な最新ガジェットがあるのですから、活用して高齢の親を熱中症から守りましょう。