・2003年1月~2004年3月、円高・米ドル安にあえいだ日本政府・日銀が、断続的に円売り・米ドル買いの為替介入を実施した。しかし、この介入はある日突然止まった。理由は、米金融当局の介入阻止とされるが、真偽は不明だ。ただ、事実としては、介入中止の後、円安・米ドル高基調に転換した。円買いの行きすぎが頂点に達したからだとみられる。

・2024年は、2004年と逆で、円安・米ドル高が進む。円の売り越しが「行き過ぎ」どころか、バブル的な水準に高まっているためだ。この状況では、為替介入の有無にかかわらず、いずれ円売りが止まってもおかしくない。

・日本は2023年度に過去最大の経常黒字を計上した。それにもかかわらず、円安が進む。経常黒字の主役が第一次所得収支、つまりは直接投資収益や証券投資収益であるからだ。これらの収益は国内への還流が期待薄で、円買いにもつながりにくい。今後、国内への資金還流を促す税制が整備されれば、投機の円売りが「止まらない円安」を生み出す現状を転換させるかもしれない。