◆「鰯の頭も信心から」。節分の夜に鰯の頭を柊の枝に刺して門口に飾る風習から来ている言葉だが、その元になった風習はいまや廃れている。鰯の頭を門に飾っている家なんて、とんとお目にかからない。その代わりに恵方巻は関東でもすっかり定着した感がある。やはり商業主義と結びつくと威力がある。
◆相場格言に「2日新甫は荒れる」というのがある。今月のように、1日が日曜日で休場となり、2日から取引が始まる月の相場のことである。「甫」は「始まる」という意味だから、新甫とは「新しく始まる」相場を意味する商品相場の用語だった。
◆同じく有名な相場格言に「節分天井、彼岸底」がある。これも元々は米相場から来た言葉である。節分≒立春であり、彼岸≒春分の日で、要は季節の変わり目。米のような農作物の相場では重要な節目だが、株式市場についてはほとんど当てはまらない。「2日新甫」も荒れたり、荒れなかったりする。
◆昨日の小欄でアメリカンフットボールのスーパーボウルに関するジンクスを紹介した。NFC所属チームが優勝した年の米国株相場は上昇する確率が高いというものだ。しかし、勝ったのはAFCのペイトリオッツだった。今年の米国株相場はどうなる?年初から冴えない相場展開が続いているが盛り返せるだろうか。スーパーボウルのジンクスは凶となったが、まだ明るい材料はある。「大統領選サイクル」だ。NYダウの年間騰落率の平均をみると、「大統領選挙の前年」がダントツに良好なパフォーマンスとなっている。さて、どちらのジンクスを信じますか?鰯の頭もなんとやらである。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆