2024年以降、120円割れへ=平均的円高トレンドなら

2000年以降で、主な米ドル安・円高トレンドは5回あった(図表参照)。この継続期間は、最短が1年、最長が4年4ヶ月、平均は2年9ヶ月だった。円安トレンドも同じく5回あったが、継続期間は最短で6ヶ月、最長で3年8ヶ月、平均2年1ヶ月だった。以上からすると、円高でも円安でもトレンドが発生すると、平均的な場合で2年以上続き、3~4年続くのは長いケースということになりそうだ。では次に、そのトレンドの中で米ドル/円はどのように変動するかについて考えてみる。

【図表】2000年以降の円高と円安のトレンド ※注:最大変動率は対円の米ドルで計算
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

5回の円高トレンドの中での米ドル下落率は、最小で13.6%、最大で39.5%、平均は26.2%だった。一方で5回の円安トレンドの中での米ドル上昇率は、最小で20.4%、最大で66.7%、平均は38.3%だった。これを見る限り、米ドル/円の変動率は円高トレンドより円安トレンドの方が大きかった。

今回は円高トレンドのケースなので、これまで見てきたことを参考にすると、平均的なケースなら2割以上の米ドル下落となり、3割を超えて米ドル下落となった場合は比較的大きな米ドル安・円高トレンドだったとなりそうだ。

以上を整理すると、米ドル安・円高トレンドの基本は2年以上続き、その中で米ドルは2割以上下落するというイメージになるのではないか。これを今回に当てはめてみると、仮に今回の米ドル安・円高トレンドが2022年10月151円から始まったとして、2年以上続くなら2024年10月以降まで続き、その中で2割以上の米ドル下落が起こるなら、120円割れに向かう計算になる。

今回見てきた中で最長、最大に米ドル安・円高が続いたのは、4年4ヶ月で39.5%米ドルが下落したものだった。これは2008年「リーマン・ショック」前後に75円まで米ドル安・円高が展開したケースだ。

このケースを今回に当てはめると、米ドル安・円高は2027年まで続き、その中で米ドルは100円を割れて90円を目指すという計算になる。逆に言えば、これまでの円高トレンドの実績で、最大規模のものにならない限り、今回は100円割れの米ドル安・円高が起こる可能性は低いのではないか。