東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は5日ぶりに大幅反落となりました。112円高の32,618円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分余りで201円高の32,708円まで上昇しましたが、利益確定の売りが出て伸び悩むとマイナスに転じ下げ幅を大きく広げ10時10分に514円安の31,992円まで下落しました。その後下げ渋ると日経平均は13時に212円安の32,294円まで戻しました。

しかし、その後再び下げ幅を広げると結局593円安の31,913円と安値引けで取引を終えています。一方で新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

政府が次世代の脱炭素燃料として有力な水素の供給増に向けた基本戦略を打ち出したことから水素関連銘柄に物色の矛先が向かいました。水素ステーションを運営する岩谷産業(8088)が一時9.1%高、水素製造装置を手掛ける三菱化工機(6331)が一時10.3%高、水素発電設備や水素圧縮機の開発を進める川崎重工業(7012)も一時5.9%高となり揃って年初来高値を更新したほか、東証スタンダード市場では水素圧縮機を手掛ける加地テック(6391)も一時14.1%高となり年初来高値を更新しています。

クミアイ化学工業(4996)も一時8.8%高となり年初来高値を更新しました。主力の農薬事業が海外を中心に堅調に推移していることなどで145億円とみていた2023年10月期の営業利益の見通しを171億円に上方修正したことから買いを集めました。

また、投資判断や目標株価の引き上げを受けて買われたのが中国電力(9504)と四国電力(9507)で、中国電力が投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時3.6%高となり年初来高値を更新し、四国電力も目標株価の引き上げを受けて一時4.0%高となりました。

一方で東レ(3402)が一時3.5%安となりました。一部の部品に欠陥が見つかったため「787ドリームライナー」の納入に遅れが生じるとボーイング(BA)が明らかにしたと伝わったことから787向けに炭素繊維複合材料を供給している東レが売られました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は593円安となりました。昨日の米国市場が小幅に上昇したことから買いが先行しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むとマイナスに転じ大きく下げ幅を広げ、節目の32,000円を割り込みました。

特別清算指数(SQ)算出を控える週の水曜日は相場が荒れやすいといわれます。本日はまさにその通りの展開で一日の値幅は794円と今年最大となりました。しかし、今年2番目の下げ幅となったものの昨日までの4日間で1,600円以上上げ、25日移動平均線との乖離率も7%まで広がっていたことからすると必要なスピード調整だったとみることもできそうです。なお、日本時間の21時30分には4月の米貿易収支が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)