米ドル/円 週間予想レンジ:130.50~134.80

メインストラテジー:押し目買い

・底打ちに成功
・戻りの加速も
・日銀の人事に懸念

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週切り返し、底打ちに成功した模様だ。米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後の値幅限定もあって、2月3日の米雇用統計を受けた米金利上昇と連動した反騰がみられ、131.24円の大引けをもって続伸する蓋然性を示唆した。1月18日の罫線は「スパイクハイ」のサインをもって一旦頭の重いことを示していたが、同日安値更新なしでは遅かれ早かれ上放れの蓋然性が大きい。先週2月3日)の急伸は、1月18日の高値(131.59円)をブレイクする寸前まで来ており、上放れするのが当然のなりゆきで、134円台の打診に繋がる公算が大きい。

もっとも、先々週の保ち合い、また値幅限定も底打ちの一環であった。先週米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後の値幅限定もあって、じわじわ地合いの改善に寄与したと思われる。米雇用統計の好調はテクニカルの視点において、単にきっかけだった可能性が大きい。

1月18日は日銀会合があっただけに、事前の憶測が多かった。日銀会合で緩和政策の再修正ありという市場関係者らの思惑が濃厚だった上、一部過激な予想では、イールドカーブ・コントロール(YCC)の撤回や利上げさえ見込まれた。しかし、過激な予想が出た分、もはや売られ過ぎの状況が一段と深刻化し、却って底打ちのタイミングに近いことを暗示、先週2月3日の反騰がその結果と見なしている。

そもそも1月16日の一旦安値更新自体が、2022年高値から反落波の一環として位置付けできるものの、その延長で大分行き過ぎをもたらし、前述の過激な噂がもたらした結果であった。そのため、1月18日の日銀政策維持で一旦131.59円まで急伸したのも当然の成り行きであった。同日の値幅に「孕まれる」形で、先週の値動きを含め大きな「インサイド」のサインを形成、また上放れしていくため、底打ちに成功したとみている。

ただ、日銀政策に関する思惑は根強い。今週は日銀次回総裁人事(2月10日前後と予想される)次第では、また一波乱を覚悟せざるを得ない。とはいえ、前述のように、基本的には底打ちに成功したため、先週2月3日の安値(128.33円)の割り込みなしでは切り返しの構造自体が維持されると思う。
前述の「インサイド」の上放れが本物であれば、年初来高値を更新していくだろう。1月6日高値の134.79円の打診があれば、直接135円の打診もあり得るため、今週はロングスタンスで臨みたい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:90.00~94.00

メインストラテジー:押し目買い

・再度速度を調整
・保ち合いの延長
・上値志向は不変

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週再度反落し、先々週と「インサイド」のサインを形成した。上値志向自体は変わらないが、保ち合いの延長で一旦頭が重くなり、再度速度調整を余儀なくされるとみられるが、底固い推移が想定できる。

その根拠はやはり先々週の値動きにあり、また先々週の値動きは支配的な存在であった。先々週大きく続伸し、92.85円の打診をもって上放れを果たした。一番大きなポイントはやはり2022年12月20日高値を上放れしたこと、そして同日から1月24日にまた大きな「インサイド」のサインを点灯していただけに、高値再更新でこれからの上値余地を大きく拡大したと言える。言ってみれば、先週の反落は、あくまで途中段階の調整との位置付けである。

そもそも先々週の上放れ自体が紆余曲折であった。日銀会合通過後の波乱があり、そもそも上放れ自体が一旦失敗する可能性さえあった。日銀会合があった1月18日に一旦92円関門直前まで迫ったものの、その後一転して大きく売られ、翌日1月19日には88円関門直前まで打診し、過激な変動ぶりをみせただけに、その後の底割れ回避が非常に重要なサインを点灯した。

1月9日も一旦92円関門手前まで迫った。しかし、日銀政策に関する噂に左右されて大きく反落し、再度88円後半の打診をもって上放れの一旦失敗を示唆していた。ただし、底打ちの構造、即ち日足における「ダブル・ボトム」の構造を維持したことで上値志向自体が維持されると推測、結果として正解であったため、その日銀会合通過後の波乱は、却って強気の見方を検証する材料と化した。

そのため、1月18日の波乱が大きかった分、先々週の続伸や上放れは本物と見なせる。またそのような背景があったことから、先週の反落があっても前述の総合分析の結果を否定することなく、あくまで速度調整の段階にあると推測できる。

豪ドルの優位性を検証するもっとも大きなサインは2022年12月20日の大陰線に対する安値再更新回避にあった。他の主要クロス円が軒並み同日安値を大きく割り込んでいたなか、豪ドル/円は同様な値動きを回避、また先々週の上放れをもって大きなサインを点灯したため、強気変動を暗に否定できないと思う。

つまる所、重要な視点として、2022年12月20日の大陰線に包まれる形で大きな「インサイド」のサインを形成して、先々週の上放れで同サインの上放れを決定しただけに、新たなレンジ入りを確認でき、途中の調整があっても強気変動を維持できるだろう。この意味合いにおいて、先週の反落があったからこそ、今後の上昇波動をより健全化させる側面もあるかと思われる。

今週の日銀人事次第では波乱も想定されるが、押し目買いのスタンスは不変である。先々週高値の92.85円のブレイクがあれば、一段と強気変動の強化につながる公算が大きい。もちろん、米ドル/円次第の側面が大きいとみている。