◆米国で「会社を休むための言い訳」の検索回数が急増しているそうだ。グーグルでの検索回数は200万回を超え、新型コロナウイルス流行前と比べて9倍になったという。試しにググってみると、「会社を休む理由」というサイトがたくさんヒットする。「おすすめの理由14選」からはじまり、なんと62個の言い訳を載せるものも。ご丁寧に「言い訳する際の注意点」や「嘘だとバレない方法」の指南まである。
◆Withコロナが定着した感のある米国では、経営者は従業員にオフィスに出て来いと言う。ところが長らく在宅勤務に慣れた従業員からすれば出社はしたくない。かくして「会社を休むための言い訳」のニーズが高まるというわけだ。リモートワークでも生産性が落ちないなら問題はない。しかし、ダラス連銀の分析によれば、コロナ禍での在宅勤務の増加で、米国の大都市での生産性が相対的に下がり続けているという。米国の労働生産性が落ち込んでるのは事実だが、もうひとつ気になる調査結果がある。
◆ギャラップが行っている調査で、「エンゲージメント(会社への帰属意識)」が高く、仕事にも熱意のある会社員の割合が低下していることが明らかになった。これは「Q12」という調査で、僕も過去に受けたことがある。「この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした」「上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ」「職場の誰かが自分の成長を促してくれる」このような12個のQ(質問)に答えるものだ。
◆特に35歳以下の若手社員の間で、帰属意識の落ち込みが目立った。ギャラップのチーフサイエンティスト、ジム・ハーター氏は「完全在宅勤務や、在宅と出勤を組み合わせたハイブリッド勤務の若手社員の間で、自分が成長できるという実感を得にくくなっている」と指摘する。こうした帰属意識や仕事への熱意の低下が、生産性の低下と無関係とは思えない。コロナ禍も最悪期を過ぎた今、オフィスで働くことの意味が問い直される時機に来ている。
◆僕の娘は小学生の頃、仮病を使って学校を休むことがあった。最もよく使った言い訳が「お腹が痛い」。ある朝、「お腹が痛いので学校に行けない」と言う。僕は、どうせまた仮病に決まっている、いいから行くんだ、と強引にベッドから引きずり出して追い立てるように学校にやった。すると学校から連絡があり、どうしても堪えられなくなって救急車で病院に搬送されたという。盲腸(急性虫垂炎)だったのだ。即、入院・手術となった。この件では、いまだに娘から恨まれている。「言い訳」の真贋判別は難しい。上司のみなさん、ご注意あれ。