東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて小幅に4日続伸となりました。14円高の28,556円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分余りでマイナスに転じましたが、11円安の28,530円で下げ渋ると持ち直し9時50分には117円高の28,659円まで上昇しました。しかし、前引けにかけて伸び悩むと47円高の28,589円で前場を終えました。44円高の28,587円でスタートした後場の日経平均は13時20分前に27円高の28,569円を付けた後引けにかけてやや上げ幅を広げると結局72円高の28,614円で取引を終えています。一方で新興株は軟調で東証マザーズ指数が小幅に下落となっています。

2.個別銘柄等

任天堂(7974)が5.5%高となりました。9日に発売したニンテンドースイッチ向けソフトのスプラトゥーン3の国内販売本数が11日までの3日間で345万本になり、スイッチ用ソフトとしては発売3日間の販売本数で歴代最多になったと発表したことで買いを集めました。業務スーパーを展開する神戸物産(3038)も4.3%高となりました。原材料や物流費の高騰で商品の調達コストが上昇したものの、節約志向の消費者を取り込んで販売を伸ばしたことで第3四半期の営業利益が前年同期比で2.9%増と増益を確保したことで大幅高となりました。

また、政府が旅行支援策のGo Toトラベルに代わる全国旅行支援を早ければ月内に開始する方向で調整に入ったと伝わったことから旅行関連株が買われました。エイチ・アイ・エス(9603)が3.9%高、オープンドア(3926)が一時10.0%高、エアトリ(6191)が一時3.9%高となったほか、JR東日本(9020)が4.2%高、JR東海(9022)も2.7%高となり、オープンドアとJR東日本は年初来高値を更新しています。さらに投資判断と目標株価の引き上げを受けて買われたのがカルビー(2229)やデンソー(6902)で、カルビーが4.4%高となり、デンソーも一時3.0%高となりました。

一方で工具通販大手のMonotaRO(3064)が3.6%安となりました。既存の製造業の顧客からの注文が増えたことなどで8月の売上高は前年同月比で19.9%増となりましたが、7月の21.5%増から伸びが鈍化したことで売りが優勢となりました。さらにホンダ(7267)が投資判断と目標株価の引き下げを受けて一時2.6%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は72円高となりました。ハイテク株や景気敏感株を買い戻す動きが続き昨日の米国市場が続伸となったことで買いが優勢となりました。朝方に上げ幅を三桁に広げる場面もありましたが、昨日までの3日間で1,100円以上上げていたことや、8月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えていることもあり買い一巡後は伸び悩みました。その米CPIは日本時間の21時30分に発表となりますが、インフレがピークアウトしたことを示す内容になるとの期待もあることからマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)