名実ともに本格トレード局面入り
米ドル/円は、米ドル高値更新が続き、先週はついに140円を超えてきた。9月5日は米国のレーバー・デーだが、例年はこのレーバー・デー明けから、一方向へ動き出すことが多かった。そのレーバー・デー「アノマリー」が、一段と米ドル高・円安を広げる可能性には一応要注意かもしれない。
レーバー・デー明けは、欧米のトレーダーにとっては実質的な夏休み明けに位置付けられる。このため、夏休み明けでトレードを本格再開したトレーダーは、まだまだリスク許容度に余裕があることから、ポジションを長く維持する可能性が高く、結果として相場も一方向へ大きく動きやすいと考えられてきた。
たとえば、2021年の場合は、レーバー・デー明け直後ではなかったものの、9月後半から米ドルは一段高に向かった(図表1参照)。一昨年の2020年の場合は、それまで106円台で推移していた米ドル/円が、まさにレーバー・デー明けから104円割れ近くまで一段安に向かった。そして、2018、2019年は、米ドル/円はレーバーデイ明けから一段高へ向かった(図表2参照)。
このように方向は米ドル高、米ドル安と様々だったが、これまで見てきた過去4年間については、レーバー・デー明けから間もなく、2021年の場合のように遅かった場合でも9月中に、米ドル/円は新たなトレンドが発生するところとなっていた。
2022年の場合は、既にこれまでに歴史的な米ドル高・円安が展開してきた。例年は「夏枯れ」とされ、小動きで方向感の出にくい8月も、月初の130円から140円近くまで米ドル高・円安が展開する「夏枯れ知らず」の結果となった。その中では、トレーダーも夏休み返上で積極的なトレードを続けた可能性はあるだろう。
その上でなお、レーバー・デー明けで名実ともに、本格的なトレード局面に入ることになるわけだ。ではそれを受けて、1998年以来の140円台に突入した米ドル高・円安が、一段と広がるところとなるだろうか。
米ドル/円は最近も米金利に連れる展開が続いている(図表3参照)。その意味では、9月21日に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)に向けて米金利、とくに金融政策を反映する米2年債利回りが、米利上げ見通しを受けて大きく上昇するかが最大の焦点になるのではないかと推測する。