東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて6日ぶりに反発しました。101円高の28,415円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分余りで43円高の28,357円まで上げ幅を縮めましたが、そこから切り返すと11時前に172円高の28,486円まで上昇し158円高の28,471円で前場を終えました。167円高の28,480円でスタートした後場の日経平均は14時20分前に221円高の28,534円まで上昇し節目の28,500円を上回りましたが、大引けにかけて28,500円を小幅に割り込むと結局165円高の28,479円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

いすゞ(7202)が一時3.0%高となりました。日野自動車(7205)のエンジン不正問題を受け代替需要が発生するとの思惑買いが続き7日続伸となり年初来高値を更新しています。電子部品メーカーのタムラ製作所(6768)も10.8%高となり年初来高値を更新しました。日本企業が電気自動車向けに省エネ性能を大幅に高めた次世代半導体の生産を始めるなかタムラ製作所も2024年に月数万個の規模で生産を始め、2027年には月約6000万個に生産能力を引き上げると伝わったことで買いを集めました。フッ素化合物大手のステラ ケミファ(4109)も6.0%高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済株式総数の4.0%にあたる50万株と17億円を上限とした自社株買いを発表したことを好感した買いが入りました。

また、目標株価の引き上げを受けて買われたのが第一三共(4568)や日本電波工業(6779)で、第一三共が4.6%高となり、日本電波工業も12.3%高となりました。さらにしまむら(8227)も投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時3.7%高となっています。

一方で日本電産(6594)が一時3.2%安となりました。永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)が10月に新経営体制への移行を計画しており、関潤社長兼最高執行責任者(COO)が退任する見通しと伝わったことで後継者選びが再び振り出しとなったことを懸念した売りが出ました。業務スーパーを展開する神戸物産(3038)も5.0%安となりました。月次業績で7月の営業利益が前年同月比5.9%増に止まり6月の20.3%増から伸びが大きく鈍化したことを嫌気した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は165円高となりました。押し目買いが入り昨日の米国市場が4日ぶりに反発したことで買いが優勢となりました。しかし、一日を通して堅調に推移したものの節目の28,500円を小幅に上回ったところで伸び悩むと28,500円をわずかに下回って取引を終えました。明日は夜にジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控え様子見になりやすいといえますが、こうしたなかで本日上値を押さえられた28,500円を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や4-6月期の米GDP改定値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)