東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅に3日続伸となりました。375円高の26,892円で寄り付いた日経平均は取引開始から40分余りで544円高の27,062円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと11時20分前には193円高の26,710円まで上げ幅を縮めました。しかし、その後持ち直す展開となった日経平均は269円高の26,787円で前場を終えると300円高の26,817円で後場の取引をスタートさせ13時30分過ぎに361円高の26,878円まで上昇し結局295円高の26,812円で取引を終えています。一方で新興株は軟調で東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

オリエンタルランド(4661)が一時3.1%高となりました。2023年度のディズニーシーの大規模拡張を機に入園チケットの変動価格幅を拡大し最繁忙期の料金を値上げすると伝わったことで収益の改善を期待した買いが入りました。リクルートホールディングス(6098)も一時4.4%高となりました。先週末に発表となった6月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が市場予想を大きく上回る増加となるなか米国で求人検索サイトのインディードを運営するリクルートホールディングスに買いが向かいました。

アダストリア(2685)も一時9.9%高となりました。主力ブランドのグローバルワークを中心にカジュアル衣料の販売が好調だったことや、値引き販売を減らしたことで粗利益率が改善したことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で7.3倍と急回復をみせたことで上げ幅を広げる場面がありました。第3四半期決算を発表したフィットネスクラブを運営するカーブスホールディングス(7085)も一時7.4%高となりました。プロテインの定期契約者数が増加するなど会員向け物販が想定を上回って推移していることなどから2022年8月期の営業利益の見通しを25億円から27億円に上方修正したことを好感した買いが入りました。

一方で安川電機(6506)が5.6%安となりました。電気自動車への移行で車載電池の組み立てなどにロボットの需要が増え、モーターも旺盛な半導体投資などを追い風に伸びたことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で7.8%増となりましたが、市場予想に届かなかったことで売りが優勢となりました。東レ(3402)も5.1%安となりました。子会社の東レ建材で国土交通大臣から不燃材料の認定を受けている建設資材の一部が20年近く不適切な生産方法で製造・出荷されていたことが分かったと伝わったことが嫌気されました。また、東京エレクトロン(8035)が投資判断と目標株価の引き下げを受けて一時2.8%安となったほか、他の半導体関連銘柄にも売りが波及しレーザーテック(6920)も3.4%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は295円高となりました。10日投開票の参院選で自民党が改選議席の過半数を単独で確保し岸田文雄首相の政権基盤が強化されたとの見方から買いが優勢となりました。一時は540円以上上昇し25日移動平均線(26,679円)を回復しましたが、節目の27,000円や一目均衡表の雲の上限(27,056円)を小幅に上回ったところで伸び悩むと引けで75日移動平均線(26,948円)を超えることができませんでした。したがって上値の重さがやや意識されそうで、こうしたなかで明日以降27,000円を超えてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、小売り企業の決算発表が連日行われていますが本日も引け後にはローソン(2651)やコジマ(7513)、コーナン商事(7516)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)