東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は続伸となりました。日経平均は米国株安を受けて211円安の27,549円で寄り付くと直後に237円安の27,523円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと10時50分前にプラスに転じ82円高の27,844円で前場を終えました。上げ幅を三桁に広げ131円高の27,893円でスタートした後場の日経平均は14時10分に217円高の27,979円まで上昇した後やや上げ幅を縮めると結局154円高の27,915円で取引を終えています。こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数も上昇となっています。
2.個別銘柄等
第一三共(4568)が3.7%高となりました。英アストラゼネカと開発中の抗がん剤の第3相臨床試験(治験)で既存の治療法に比べて病勢進行または死亡リスクを低下させる有効性を示すデータを学会に公表したと発表したことが材料視されました。本決算を発表した調剤薬局のアインホールディングス(9627)も一時14.1%高となり年初来高値を更新しました。2022年5月に買収したファーマシィホールディングス店舗を含め160店を出店することなどで2023年4月期の営業利益が前期比で32.1%増の200億円となる見通しを発表し市場予想を上回ったことから買いを集めました。日本駐車場開発(2353)も9.9%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルス禍で落ち込んでいた観光需要が回復しつつありスキー場やテーマパークへの来場が増えたことが寄与し第3四半期の営業利益が前年同期比で37.5%増となり通期予想に対する進捗率が82.3%となったことで業績の上振れを期待した買いが入りました。
また、政府内で観光需要喚起策のGo Toトラベルを6月末-7月にも再開する案が浮上してきたと伝わるなか旅行関連銘柄が高く、エイチ・アイ・エス(9603)が3.3%高となったほか、エアトリ(6191)が5.0%高、オープンドア(3926)が11.4%高、JR東日本(9020)が4.4%高、JR西日本(9021)が4.6%高、JR東海(9022)も2.3%高となりました。さらに米韓両軍が6日に北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射したことに対抗し日本海に向けてミサイルを発射したと伝わったことで防衛関連株が高く、三菱重工業(7011)が一時3.3%高、IHI(7013)が一時2.6%高、川崎重工業(7012)も6.4%高となり3銘柄が揃って年初来高値を更新しています。東証スタンダード市場では石川製作所(6208)が3.2%高、細谷火工(4274)も4.6%高となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は154円高となりました。米雇用統計で雇用者数の増加が市場予想を上回ったことで金融引き締めへの警戒感が改めて強まり先週末の米国市場が反落となったことで売りが先行しました。しかし、節目の27,500円を前に下げ渋ると持ち直し時間外の米株価指数先物が堅調に推移していることもあってプラスに転じ上げ幅を広げ3月に上値を押さえられた200日移動平均線(27,940円)を上回る場面もありました。マイナスからプラスに転じ上げ幅を広げたことで先週の堅調な地合いは引き続き維持しているといえそうですが、こうしたなかで上値抵抗線として意識されやすい200日移動平均線を超えてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)