東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて大幅続落となりました。412円安の26,692円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分で617円安の26,487円まで下落した後10時前に340円安の26,764円まで戻しましたが、再び下げ幅を広げると526円安の26,578円で前場を終えました。432円安の26,672円でスタートした後場の日経平均は12時50分過ぎに396円安の26,708円まで持ち直した後13時30分前に548円安の26,556円まで下落すると結局514円安の26,590円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

ファーストリテイリング(9983)が5.3%安となりました。中国北京市政府が新型コロナの感染拡大を警戒しPCR検査などの防疫態勢を強化すると発表したことでロックダウンへの懸念が強まるなか北京市にユニクロの旗艦店があるファーストリテイリングが大幅安となり、日経平均を1銘柄で120円近く押し下げています。日産(7201)も5.0%安となりました。仏ルノーが保有する日産の株式の一部を売却する検討を始めたと伝わったことで株式需給の悪化を懸念した売りが出ました。ANAホールディングス(9202)も3.4%安となりました。新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置などを受け旅客需要が想定を大きく下回ったうえ、燃料価格の高騰によるコスト増もあり2022年3月期の営業損益の見通しを1250億円の赤字から1750億円の赤字に下方修正したことで大幅安となりました。

また、富士通ゼネラル(6755)も工場出荷後の海運・港湾・陸運での物流停滞の影響を受けたことなどから2022年3月期の営業利益の見通しを150億円から84億円に引き下げたことで一時7.0%安となったほか、13時に2022年3月期の業績予想の下方修正を発表し採算悪化や資材価格高騰などの影響で営業利益の見通しを765億円から451億円に引き下げた清水建設(1803)も決算発表後に下げ幅を広げ7.5%安となり年初来安値を更新しています。東急建設(1720)も国内で工事の進捗が遅れ売上高が減少したことなどで2022年3月期の営業損益の見通しを36億円の赤字から61億円の赤字に下方修正したことで11.4%安となり年初来安値を更新しています。

一方で本決算を発表した東京製鉄(5423)が7.6%高となりました。電力価格の高騰が利益を圧迫することなどから2023年3月期の営業利益は前期比で減益となる見通しながら市場予想を上回ったことや、自己株式を除く発行済み株式総数の2.42%にあたる280万株と30億円を上限とする自社株買いを発表したこともあって買いを集めました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は514円安となりました。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めを警戒した売りが続き先週末の米国市場が大幅続落となったことで大幅安となりました。先週末の25日移動平均線や75日移動平均線に続き、本日は一目均衡表の雲の上限(27,034円)や節目の27,000円を割り込むなどサポートとなりそうな水準を次々と下回り下げ幅を広げたことから下値への警戒感が意識されそうですが、節目の26,500円を割り込んだところで押し目買いがみられたことや、2日間で960円以上下げたこともあって明日以降の自律反発に期待したいところです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後にコーエーテクモホールディングス(3635)やJSR(4185)などが決算を発表する予定です。また、25日の米国ではコカ・コーラ(KO)などが決算発表を予定しています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)