東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅に6日続伸となりました。日経平均は263円高の27,091円と節目の27,000円を回復してスタートすると寄り付きをほぼ安値に上げ幅を広げ10時30分過ぎに457円高の27,284円まで上昇し415円高の27,242円で前場を終えました。450円高の27,277円でスタートした後場の日経平均はやや上げ幅を縮めましたが27,200円近辺で堅調に推移すると結局396円高の27,224円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

スズキ(7269)が一時3.6%高となりました。約1500億円を投じて電気自動車と車載電池などの新工場を建設することについてインドのグジャラート州と覚書を締結したと発表したことが材料視されました。カジュアル衣料大手のアダストリア(2685)も6.8%高となりました。新型コロナウイルスの感染拡大で来店客数が減少したものの値引き販売や販管費の抑制に加え、助成金の受給などもあり通期の経常利益の見通しを65億円から81億円に上方修正したことで買いを集めました。

また、米長期金利の上昇を受けてメガバンクや生保株が買われ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が5.6%高となったほか、第一生命ホールディングス(8750)が6.0%高、T&Dホールディングス(8795)も5.8%高となりました。損保大手の東京海上ホールディングス(8766)も5.9%高となり上場来高値を更新しています。さらに原油価格の上昇を受けて石油関連株が高く、INPEX(1605)が一時10.2%高となり昨年来高値を更新したうえ、出光興産(5019)が4.2%高、コスモエネルギーホールディングス(5021)も6.9%高となりました。大手商社株も高く三井物産(8031)が6.3%高、住友商事(8053)が5.7%高、三菱商事(8058)も6.9%高となり、三井物産と三菱商事が上場来高値を更新し、住友商事も昨年来高値を付けています。

一方で中古車販売のガリバーなどを運営するIDOM(7599)が2月に最高値を付けた中古車の価格がロシア向け輸出急減で一転して下がり始めたと伝わったことで8.2%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は396円高となりました。昨日の米国市場は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が講演会で今後の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅な利上げに踏み切る可能性を示唆したことで金融引き締めの加速を警戒した売りが出て反落となりましたが、先週末に昨日の下げを上回る上昇となっていたことや、2016年2月以来6年1カ月ぶりとなる120円台半ば近辺まで円安が進んだこともあって買いが優勢となりました。大幅高となり節目の27,000円を回復したことで戻り相場への期待が高まりますが、6日間で2,000円以上上げ利益確定の売りが出やすいなかで明日以降も水準を切り上げ上値抵抗線として意識されやすい75日移動平均線(27,480円)を超えて節目の27,500円を回復できるかがポイントとなりそうです。なお、米国市場は先週末、昨日とFRB高官の発言に反応する展開となっていますが、22日の米国でもウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁とデイリー・サンフランシスコ連銀総裁が討議に参加するほか、メスター・クリーブランド連銀総裁の講演も予定されており注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)