東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて4日ぶりに大幅反発となりました。227円高の28,449円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分弱で405円高の28,628円まで上昇した後一旦伸び悩みましたが、10時50分頃からさらに上げ幅を広げると前引け間際に528円高の28,751円まで上昇し525円高の28,748円で前場を終えました。531円高の28,754円でスタートした後場の日経平均は14時20分に485円高の28,707円までやや上げ幅を縮めましたが、引けにかけて上げ幅を広げ大引け間際に591円高の28,814円まで上昇すると結局543円高の28,765円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も高く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2%近く上げたことで日本市場でも半導体関連株が高く、東京エレクトロン(8035)が3.7%高、SCREENホールディングス(7735)が4.2%高、ディスコ(6146)が3.0%高、SUMCO(3436)が5.3%高、ルネサスエレクトロニクス(6723)も4.0%高となりました。また、大王製紙(3880)が3.8%高となりました。トイレットペーパーなど家庭紙について3月22日出荷分から価格を15%以上引き上げると発表したことで収益の改善を期待した買いで大幅高となりました。上期の決算を発表したタマホーム(1419)も18.8%高となりました。主力の住宅事業で受注が順調に推移しているうえ、リフォーム事業も好調で通期の営業利益の見通しを113億円から120億円に上方修正したことで買いを集めました。さらにドン・キホーテなどを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)も株主優待制度を導入すると発表したことで4.0%高となっています。

一方でエーザイ(4523)が一時5.0%安となりました。米バイオジェン(BIIB)と共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュヘルム」について治験の参加者のみに保険適用する方針を米公的医療保険「メディケア」を管轄するメディケア・メディケイド・サービスセンターが発表したことで適用範囲が限定されることを懸念した売りが出ました。本決算を発表したキユーピー(2809)も6.0%安となりました。原材料価格の高騰や販管費の増加が響き2022年11月期の営業利益が前期比で7.0%減の260億円になるとの見通しを発表し市場予想も下回ったことで売りがかさみました。ウェブ会議システムのブイキューブ(3681)も15.2%下落しストップ安となり昨年来安値を更新しました。昨年夏以降に製薬業界で小規模イベントを事業者自ら配信する動きが進みイベントDX事業の業績が想定より落ち込んだことなどから2021年12月期の営業利益の見通しを24億円から14億円に下方修正したことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は543円高となりました。上院銀行委員会で開かれたパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の再任指名に関する公聴会で大きなサプライズがなかったことで安心感が広がり昨日の米国市場が上昇したことから買いが優勢となりました。500円を超す大きな上昇となったことで下値への警戒感は一旦後退しそうですが、こうしたなかで明日も買いが優勢となった場合には一昨日に上値を押さえられ、本日も引けで超えることができなかった200日移動平均線(28,798円)を上回り水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、小売り企業の決算発表が続いていますが本日もエービーシー・マート(2670)やイオン(8267)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の22時30分には12月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)