テクニカルな観点

米ドル/円は先週116円を超えたものの、その後は反落となった。米国などの株価の不安定な動きが影響しているようだ。相場は上がったり下がったりするものだが、そういったことを織り込みながら、目先的に米ドル/円にどの程度の下落リスクがあるかについて、今回は主にテクニカルな観点から考えてみたい。

米ドル/円は、2021年9月末の110円程度から年明けにかけて116円まで一段高となったが、これを90日MA(移動平均線)からのかい離率で見ると、基本的に90日MAから3%を大きく超えられず、90日MAより1%上回る水準まで反落するパターンが続いてきたことがわかる(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の90日MAからのかい離率 (2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

さて、足元の米ドル/円の90日MAは113円程度なので、それを1%上回った水準は114円程度になる。以上、最近にかけてのプライス・パターンを参考にすると、米ドル/円は114円程度まで反落するリスクはあるものの、それを大きく割り込まないようなら、2021年9月末からの米ドル/円上昇トレンドに変化はないということになるのではないか。

米ドル高・円安トレンドの一時的な逆行

もう1つの観点は、2021年1月102円からの米ドル高・円安トレンドについて。これは、基本的には日米金利差と連動してきた(図表2参照)。その意味では、金利差といったファンダメンタルズに裏打ちされた米ドル高・円安トレンドが展開している可能性が高い。

【図表2】米ドル/円と日米金利差 (2021年10月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

また、この米ドル高・円安の特徴は、52週MAを大きく上回ったということ(図表3参照)。これは、経験的には一時的ではなく、継続的、つまり米ドル高・円安トレンドが展開している可能性を示している。その上で、トレンドと逆行する一時的な下落は、経験的には52週MA前後までがせいぜいだった。そんな52週MAは足元で110円程度。

【図表3】米ドル/円と52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ということは、上述のように米ドル/円の反落がかりに114円を大きく割り込むことになったとしても、52週MAの位置する110円を大きく割り込まない限り、経験的には米ドル高・円安トレンドが続いている可能性が高そうだ。