株式相場は下値が固まってきた印象。3日連続で陽線である。特に日経平均は一昨日(12/1)と本日(12/3)長い下ヒゲを引いて陽転してきた。底入れのシグナルと見られる。

出所:マネックス証券ウェブサイト

今回の急落局面でも2万7500円は割り込まなかった。8月、10月、そして今回と少しずつではあるが下値が切りあがっている。相場は右肩上がりが崩れていない。今は上値の重さが目立つが、いずれまた3万円を超える高値をとってくるだろう。

理由は企業業績の増加トレンドが崩れないからである。アベノミクス相場がスタートした2012年末以来、日経平均は予想EPSの増加トレンドに沿って上昇してきた。予想PERの平均は15.5倍。一時的な乖離はあるが、だいたい一定のレンジに収まる。バリュエーションとは企業評価であり、その元になるのは投資家の要求リターン(=資本コスト)であるため、短期間での変動はあってもそんなに大きく水準が変化するものではない。世の中の自然現象は平均回帰というのが当たり前のものと、そうではなくべき乗分布のものとに分かれるが、株式のバリュエーションは平均回帰すると考えられる。簡単に言えば、高くなったものは低くなり、低くなったものはまた高くなる。上げ下げを繰り返すものだろう。現在の予想PERは平均よりも2倍程度低い。コロナ感染の落ち着き、経済再開が現実のものになればPERも過去平均に戻るだろう。

日経平均(青)と日経平均予想EPS(オレンジ)
出所:QUICKデータよりマネックス証券作成
日経平均予想PER
出所:QUICKデータよりマネックス証券作成

来年の経済状況はオミクロン株の感染状況次第というところはあるが、それほど悲観していない。パンデミックが広がった過去2年で、人類はコロナへの対応策をかなり身につけてきた。もっとも大きなのはワクチン開発の技術だろう。モデルナが今回のワクチン設計に要したのはわずか2日と伝えられる。モデルナなどが開発しているmRNA=メッセンジャーRNAワクチンは、ウィルスの表面にあるタンパク質のゲノム配列を解析し、mRNAを人工的に合成し、脂質でコーティングして製剤化する。ウィルスの遺伝情報さえ解析できれば短期間でできる。そしてAIがすでにそれを可能にしたことは証明済みである。オミクロン株も同様に封じ込めることができるだろう。

以上を前提に来年の相場予想を行う。
株価のファンダメンタルズである企業業績は増益率こそ大幅に鈍化するが増益基調は続く。

現在、日経平均の予想EPSは2,070円。本決算までに保守的に見積もっても5%は上方修正されるだろう。そして来期は10%程度の増益が市場コンセンサスと思われる。おそらく半年後の日経平均の予想EPSは

2,070 × 1.05 × 1.1 = 2,390 になっているだろう。

PERは15倍と過去平均並みを見込む。

2,390 × 15 = 3万5850円が来年の基準値だ。上下10%を基本的な変動域と考えれば 3万2000円台前半から3万9000円台までのレンジをコア・レンジとしたい。年明けしばらくしてからコア・レンジに入るとすれば、年明けはまだ3万円に乗るか乗らないかの水準だろう。

よって来年の高値・安値の予想としては

2万9000円~3万9000円とする。

米国の利上げ、景気サイクル、自然災害、地政学的リスクなどについては追って述べたい。